三途の川で落しもの/幻冬舎


星星星星

タイトルを読んだとき、「えっ、三途の川で落し物なんかするなよ!」と思った私ですが…。
そして読んでみると、死者が三途の川を渡る際に生前に未練があると川が荒れ、魂の玉が川の中に落ちてしまうとそれが未練のある場所に行ってしまい、回収しないと三途の川を渡れずに漂い続けてしまうという内容で。
内容だけ書くと、ホラーかいな という感じですが、雰囲気としては全くホラーではなく、どちらかと言うとコメディーっぽい設定でした。
懸衣翁(けんえおう)→県営王 と誤解してくれたおかげでわかりやすかったし、奪衣婆(だつえば)→ダ・ツ・エバ という名前で、しかも金髪美女?!という設定でイメージしやすすぎる! というか、そんな設定でいいのか?!とニヤニヤしてしまう感じでした。

そして小学生で三途の川のふちまで来てしまった少年が、最終的に自分の体に戻ることができるのか?! というストーリーなわけですが、途中、あまりにヘビーな未練を背負った通り魔殺人をして射殺された男性の話が出てきて、私はげっそりしました。
その話を電車の中で読んだので、上野駅に到着したとき、通り魔っぽい怪しい行動をとる人はいないかドキドキきょろきょろしてしまい、むしろ私の方が挙動不審者に…(笑)

少年がどうして三途の川のふちまで来てしまったのかが最後の方まで謎で、先が気になってしょうがない一冊でした。

死後の世界、もしかしたらこんなかもしれないなぁと思ったり、地獄と天国の実際も、実はこんなかもしれないなぁと思いました。