てふてふ荘へようこそ (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)


星星星星

かなり格安の家賃で敷金礼金なし、最初の一か月は家賃いただきませんというアパート「てふてふ荘」。
なにかいわくつき?と見学者は思うものの、見学している間はその安さの理由が分からず入居。
部屋を選ぶときに、大屋さんからなぜか何枚かの顔写真を見せられて「どの人がいいですか?」と質問され、皆誰かを選択する。
そして、一晩過ごした次の日の朝に驚きの事実が判明!
そう、てふてふ荘の各部屋には地縛霊が住んでいて、一晩寝ると住人に見えるのです!
顔写真は地縛霊の顔の写真だったのです!!

と、こう書くとホラーなのか?!と思われそうですが、実際は全くホラーな雰囲気ではなく、ゾクゾクする感じではなくてなぜか温かな雰囲気です。
そして各部屋の住人は、地縛霊と一緒に過ごし、それが幽霊であるということを忘れるほど強烈な感情を抱いて幽霊に触れようとして触れると、地縛霊は成仏して消えていきます。
その「感情」がいい方の感情の場合や負の感情の場合などがあって、読んでいて「この幽霊はどうやって成仏するのかな」と先が気になってしょうがありませんでした。
そして住人が地縛霊を成仏させるエピソードを通して、少し成長する感じが素敵でした。
ラストに近づくともう一つの謎が膨らんでくるのですが、それはまあ、きっとそうだろうなと予測がついたのでそんなに驚かなかったかな~。