永遠の0 (ゼロ)

永遠の0 (ゼロ)

聖夜の贈り物 ボックス! 風の中のマリア ひゃくはち 平等ゲーム
by G-Tools

星星星星星

戦争物を久しぶりに読んだ。
血のつながった祖父は特攻で亡くなったという青年が、祖父がどのような人物でどのようにして亡くなったのかを調べるというストーリー。
祖母は特攻で亡くなった祖父との間に子どもを一人生んでいて、その子が青年の母であり、現在生きている「祖父」は祖母が再婚した相手ということだ。
なんだかややこしいなと思いつつ読んだけれど…。

戦時中、祖父(宮部)と共に戦った人たちの話を聞きに行くという展開だった。
彼らはもう80歳以上の高齢者である。
中には病床に臥している人もいた。
それらの人たちが一人一人、宮部とのエピソードを語るのだが、それぞれの立場で話すのが印象的だった。
自分の命を大切にする「臆病者」と感じていた者や、日本に生き残るべき人物だと心から思って自分の命をかけてでも生きてほしいと思った人。
宮部が心から願った「生きて帰りたい」という思いは、今の世の中の私たちにとっては当たり前の感情だ。生きて家族のもとに帰りたいと思うのが当たり前のことだ。
でもそう言ってはならない、そう言うことが「臆病者」と思われる、そんな時代が日本にあったのだと思うと恐ろしい。
「死ぬかもしれない」と思って戦うのと「必ず死ぬ」のとでは全く意味が違うだろう。

生きて家族のもとに帰りたいと心から願う宮部が、様々な経験をして行き、死んで行ったのか、そしてエピローグでは死後アメリカ人にどのように扱われたのか と読み進めていたら涙がとまらなくなった。
特効という武器を日本人が考えたなど信じられないが、そういった歴史や背景、その時代に生きた人たちのことを考えることはとても大切だと思う。
そんなチャンスを与えてくれたこの作品は、多くの人が読むべき一冊だと思った。

今の平和な世の中に生きていると、戦争など本当にあったことなのかと感じてしまうこともある中、こういう作品を読むのは非常に大切なことだと思う。
私自身、もっとこういった戦争ものの作品を読むべきだと感じた。