トムクラスになると、週末の過ごし方もダンディーである。

東京のクラブシーンをリードする、あそこへ向かうのである。


そう。


SO!






土曜の仕事後も、ここでみっちりしごかれるのである。

(稽古の合間にへたれこむトム)


ここで本日は、愚息(小2)の愚行を聞くことになる。


愚息は、小1の時から近所のセブンイレブンでエッチな本の立ち読みを目撃されるなど、そのエッチさには定評がある(遺伝ではない)。


その愚息が今日、道場の受付でなにやら

「エロ! エロ!」

と騒いでいたらしい。


雑誌の表紙を見て騒いだらしいが、

道場の受付で販売されている雑誌は、

「フルコンタクト空手マガジン」くらいである。



フルコンタクト空手マガジンといえば、

トムが海水浴の合間にも嗜む愛読書である。

(寝ていない、読んでいるのである)



こちらは、愚息が興奮した最新号である。

(確かに、表紙にB地区が掲載されている)



トムは、悩みながら帰宅した。

これは、愚息への喝ではない。

これは、トムへの喝だ。

今日は愚息を抱きしめてやるのだ。



愚息は寝ていた。



よく見ると、股間に手を入れている。



子は親の背中を見て育つ。


トムが言う、「ホンヲヨメ!」には

エッチな本は含まれないのだ。

それを伝えていなかったのだ。

愚息は悪くない。

トムが悪かったのだ。



そこへ、愚娘(小5)が風呂から上がってきた。


全裸で歩き回るのは、やめた方が良い年頃だ。



「おい、聞いてくれよ、こいつが道場でさ…」

トムは愚娘(反抗期)に、愚息の事の顛末を話す。



「エグ!」


「エロ!」

その二言しか言わない。


その前に服を着なさい。


愚娘は、オスである。

海水浴の合間にも、蹴りの稽古に励むオスである。





今日もトムに筋肉を見せつけてくる。


筋肉を褒めて欲しいのだ。


だが、愚娘は悪くない。


子は親の背中を見て育つのだ。


(本人の名誉の為にツーケーは隠した)


トムは決して、「フルコンタクト空手マガジン」を皆さんに購読してくれと言っている訳ではない。
 
道場の最高師範が、「フルコンタクト空手マガジン」にて素晴らしい小説を書いているからでもない。


トムが感じたのは、「ここに偉そうなことを書く前に、トムの子どもたちを何とかすべきだ」

と、いうことだ。


トムは明日も、その答えを探しにゆく。

東京のヒップホップシーンをリードする、そう、あそこだ。

So !