冬は、体重計に乗らなくなる。
増量していることが自分でわかっているから、現実から目を背けるのだ。
トムは大抵、冬に肥大化する。
「あったまるから」と、汁物で締めたり。
「ソバは太らないから」と、ソバを大食いしたり。
「これでチャラになるから」と、食後にトクホのコーラをガブ飲みしたり。
つまり、自分に言い訳をして食欲を満たしているのだ。
トムの両親は、ガリガリである。
トムも昔は細かった。
中学からのラグビー部時代、体を大きくしたくて食いまくった。
満腹に飯を食った後に、よく卵かけ納豆ご飯を流し込んでいた。
合宿所でも「食トレ」と称し、泣いても無理矢理食わされることもあった。
その過程で、「噛まずに飲み込む」クセがついたのだ。
だが運動を辞めたら、節制しなくては太る。
ただ、食欲を満たしたいという思いはいつでも変わらない。
気付くと、食い過ぎてしまっているのだ。
30歳で、尿酸値を下げる薬(痛風の)を飲んでいた。
ダイエットしてはまた太りを繰り返していた。
運動をちゃんとするまでは。
今日、トムはまたパーソナルジムにしごかれに行った。
最近逃げていた、体組成計に乗ってみる。
体脂肪率 10.8%
ギリギリ70キロ未満だ。
40歳の冬にしては、立派な数値だ。
これでいかに、パーソナルジムが効果的かがわかる。
だが、大事なことを忘れてはならない。
トムは、空手道場生なのだ。
ここで、師範や指導員の先生に可愛がってもらっている。
優しい中高生の道場生たちが、少しだけ容赦してトムを攻めてくれる。
息子も、優しい口づけでトムの腹筋を応援してくれる(娘はNG)。
時には稽古をサボっても、優しく皆が迎えてくれる。
空手を始めてから、トムはメタボることがない。
館長先生曰く、「歯をみがくように稽古に行け」
つまり、道場へ稽古に行くことを自分の中でルーティン化しろということで、余計なことを考えずにまず行けということだ。
この教えはトムの中で、空手だけでなく様々なことに活きている。
帰宅後、道場では先輩でもあり帯上でもある娘(反抗期)に体組成計の結果を見せた。
トムは娘に褒めて欲しかったのだ。
娘はよくわからないようだった。
そりゃ、そうだ。
小5女子(少しマッチョ)に体脂肪だ筋肉量だと言ってもわかるわけがない。
「キモ!」とひと言だけ言って、寝室へ行った。
別にキモく(気持ち悪く)ないんですけど。
ちなみにそれ、喝なんですけど。