元気なときから母は電話好きだった。認知症と診断されてから、いろいろ忘れて出来ないことが増えてきたが、電話だけは変わらない。
仕事で出かけていたら、母親からの電話で『足が痛くて苦しい、助けて』と電話があり、急いで家に帰ると、本人はベッドで眠っている。こんなことが、何回も続くと参ってしまう。痛い場所は、足や腰やお腹とそのときによって変わる。
携帯に15分おきに掛かってきて、心配になり家に戻ると事務所の留守電にも3回メッセージが入っていた。『痛くて死にそうだ助けて』とか『病院へ連れて行って』などだが、部屋に行って話しをしてみると、話をしながらトイレに自分で歩いていきます。どうやら死ぬほどの痛みでは、無いようです。
病院の先生からも、『本当に足や腰が痛いのだったら3階から手すりにつかまったにせよ、一人で降りてくることなんか出来ない』って言われているんです。
私の姉たちは、母親が電話をしても直ぐに切ってしまい、最近では電話にも出なくなったと母が話していました。姉たちは、私たちにまかせっきりで様子を見るため来るということもありません。結果、息子である私にだけ集中する形になってしまったようです。
私が、家に帰っていると内線が掛かってきます。そのときは痛いとかの話ではなくて、ストーブやコタツのスイッチが分からないとか、もうねるんで部屋の電気を消してくれとか、眠剤を持ってきてくれとかそんな内容です。
なんかおかしいでしょ、死ぬほどの痛い話は無いんです。たぶん、家に人が誰もいないことが、本人を不安にさせて、痛みを訴えて早く来てもらおうということではないのかなと考えています。
認知症は此処何日かでちょっと進みました。以前はディサービスの準備も自分でしていたのですが、全く出来なくなりました。
本人は『頭がおかしくなって、何もできない』と言うことが多くなりました。
毎日、事務所に何度も電話が掛かってきます。家に帰ると、内線も掛かってくるし、電話も掛かってきます。
私のことをかみさんは、電話機で操縦されているロボットだと言います。
でも、電話が出来るうちは良いけれど、出来なくなったときがどうなるか
ちょっと心配です。