人間は、社会的な生き物です。
一人で生きていくより、集団で生きていくことを選びました。
人間には、敵にかみつく牙もなく、獲物を捕える爪もなく、空を羽ばたく翼もないし、海に潜るエラもない。
大自然のなかで一人で生き抜く生命力は備わっていません。
そう、ヒトは、仲間を集めて一緒に生きていくことを選んだのです。
映画「猿の惑星-創世記-」が昨年末公開されましたが、ヒトより生命力の高い霊長類はいるんですよね。
チンパンジーの握力はハンパないそうです。
自分の体重を振り子のように振りながら、片手だけで枝にぶらさがって支えていられるほどの握力を持つ人間はいません。
オリンピックの吊り輪なんて、猿から見たら遊んでるみたいでしょうね。
・・・話が逸れました(^^;
で、仲間と一緒に生きていくには、いろんな能力が必要になってきます。
いつも好き勝手、自分の都合ばかりで動いているようなヒトは、周りから迷惑がられます。
ということで、仲間と協調して生きていく能力が育まれるわけです。
その能力を、オーストリアの精神科医、アルフレッド・アドラーは「3つのライフタスク(人生の課題)」と名付けました。
1.仕事の課題
2.交友の課題
3.愛の課題
これらのタスク(課題)を達成していくには、「仲間と協調する能力=共同体感覚」が欠かせないとアドラーは言います。
「仕事」というのは、もちろん生活していく上でお金を稼ぐ必要があるので、社会生活を送る上で欠かせないモノです。でもアドラーは、ここでいう「仕事」とは何もお金を稼ぐだけでなく、一定の役割と責任をもって継続的に行われる活動―たとえば家事―なども、仕事のタスクに入る、と言っています。
ボランティア活動なども、気まぐれでなく、継続性を持って行われているのであれば「仕事」のタスクと言えます。
「交友」は、仕事と違って、役割も責任もなく、利害関係や上下関係の少ない人間関係を言います。一人の人として関わる関係ということですね。ただし、友達が多いから交友のタスクを達成しているかというと、そういうわけではありません。名刺交換会でたくさんの人と名刺を交換した。社交的で対人関係もうまく、いろんな知り合いがいる。でも誰にも自分の本心は明かせない。安心して何でも話せるひとははほとんどいない・・・。これでは交友の課題を達成したとは言えません。
「愛」のタスクは、現代ではほとんど達成されていないと、アドラーはすでに80年前に言っています。
「愛」とは、一対一のもっとも親密な関係であり、相手のすべてを受け入れ、相手にすべてを委ねられるような関係と言います。
ありのままの相手を受け入れ、ありのままの自分をさらけ出せる関係です。
SEXにも3つの意味があると言われます。
1.生殖
2.快楽
3.一体感
こうしてみると男女の関係だと思われがちですが、3.の意味などは心理的には性別を越えて創り出せるものでもあります。
この3つのライフタスクをよりよく達成していくことができれば、僕たちの人生はより充実していくと言われています。
この3つのうちのいずれかを回避するために、ある1つの課題に特化して取り組む人がいます。
もっともわかりやすいのが「1.仕事」のタスクにのめり込むことで、他の2つを見ないようにしている人。
「いやあ、仕事が忙しすぎて家族や友人と過ごす時間なんてないんだよ。でもしょうがないだろ」
「生活費を稼いでるんだから、家族の面倒は嫁さんに任せきりでもしょうがない」
「仕事が忙しいから、家と職場の行き来だけだし、出会いなんかないわよ~」
3つの課題、みなさんはどのようなバランスで取り組んでますか?
次回(いつだ?)は、「共同体感覚」について、話したいと思います。