現在、国立西洋美術館では“松方コレクション展”が絶賛開催中ですが、
“日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち”も開催されております。
《会期2019/6/18-9/23》
19世紀後半から20世紀初頭のフィンランドでは、独立運動や国家形成に伴い、女性の社会進出において大きな変化が起こりました。
このことはフィンランドの美術界も同様で、フィンランドで最初の美術学校は創立当初から男女平等の教育が行われたんだそうです。
当時、まだまだ男社会が根深い美術界で、これは非常に画期的なことでした。
今回の展覧会では、そんなフィンランドの近代美術に革新をもたらした7人の女性芸術家にスポットを当てるというもの。
それでは早速常設展示室から展示会場へ。
おや、“松方コレクション展”よりお客さんの入りが少ない様ですね。
折角併せて楽しめるのに。
早速こちらの作品はマリア・ヴィークという画家の《別れ、石垣のための習作》
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/06/13/j/o0810108014484008589.jpg?caw=800)
このマリア・ヴィーク、フィンランドとフランスで活躍した画家で、早くから戸外制作を行っていたという画家なんだそうです。
それにしても、この作品、一体どうゆう場面なんでしょう・・・?
上下の人物の大きさの違いにもかなり違和感を感じますが・・・
続いてもマリア・ヴィークによる《教会にて》という作品↓
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/af/2b/j/o0810108014484008616.jpg?caw=800)
マリア・ヴィークは、この後ご紹介する画家、ヘレン・シャルフベックと共に、フランスのブルターニュを旅したそうで、
その為、こうした現地の伝統的な衣装に身を包んだ人物を描いているんですね。
ブルターニュ地方と言えばポール・ゴーギャンやポン=タヴァンの画家の作品が有名ですが、
彼らの絵の中にもこうした民族衣装の女性が頻繁に描かれていますね。
こちらはヒルダ・フルディーンという彫刻家による《考える老人》
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/e7/bc/j/o0810108014484008631.jpg?caw=800)
このヒルダ・フルディーン、あのロダンにも弟子入りしたという人物だそうで、
作品やそのタイトルにもその影響がうかがえます。
それにしてもこの老人、一体何を考えているのでしょうか。
ちなみに僕は最近、何か物事を考えていると、何を考えていたのかいつの間にか忘れてしまい、
「何考えてたんだっけ・・・?」となることが多々あります。
この老人も深刻そうに見えて案外そんなところかもしれません。
続いてこちらはヘレン・シャルフベックの《少女の頭部》
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/cc/af/j/o0810108014484008649.jpg?caw=800)
シャルフベックはフィンランドを代表する女性画家で素描学校の講師としても活躍したんだそうですよ。
それにしても北欧の子供ってホント可愛らしいですよね。
こちらもヘレン・シャルフベックの作品、《祖母》
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/d4/53/j/o0810108014484008665.jpg?caw=800)
穏やかな表情を浮かべるおばあちゃん。
安定した三角形の構図、そしておばあちゃんという主題。
見ていると妙に落ち着く作品です。
こちらもシャルフベックによる《占い師(黄色いドレスの女性)》
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/72/e9/j/o0810108014484008681.jpg?caw=800)
随分とモダンな印象のタッチと色彩の作品です。
《少女の頭部》が1886年の作品、《祖母》が1907年の作品、そしてこちらの《占い師(黄色いドレスの女性)》は1926年の作品ですから、
時代毎に徐々に作風が変化しているのが見てとれます。
それにしても北欧にも占い師っているんですね。
占い師と言うと、日本や台湾、それかアフリカとかの呪術的な感じの占い師しかイメージがなかったのですが、北欧の占い師の方は随分とファッショナブル。そして、なで肩なんですね。
お次はエレン・テスレフという画家の自画像↓
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/f0/d9/j/o0810108014484008704.jpg?caw=800)
そしてこちらの作品もエレン・テスレフの自画像↓
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190628/20/tolkkikun-ao9/b8/0b/j/o0810108014484008720.jpg?caw=800)
今回の展覧会で個人的に特に気になったのがそれぞれの画家たちが描いた自画像。
誤解を恐れずに言えば、古今東西問わず、女性は一般的に“盛る”ものだと思っています。
お化粧だって、“盛る”ものですし、昨今のインスタなどにあげる加工された写真、やや極端な例を言えば整形なども。
(もう少し捕捉しますと、お化粧やファッションで着飾ることは素晴らしいことだと思いますが、アプリなどで加工されまくった顔写真、怪我や病気ではないのに安易な整形などは如何なものかなと思います。)
美術においても昔の作品は特に女性の描いた自画像って相当盛って描かれてるよなぁ。と思うことも多いのですが、
この展覧会に出展されている彼女らの自画像って、盛ってないんです。
こちらはシーグリッド・ショーマンという方の自画像なんですが↓
つまり、常設展の無料観覧のタイミングならタダで見ることも出来ちゃいます!