20世紀初頭に、立体の対象物を平面上に表現する為、分割と再構成という手法で革新をもたらした重要な画家。
- ジョルジュ・ブラック晩年の境地「メタモルフォーシス」シリーズを日本で初めて本格的に展示
- ブラックの立体への挑戦を、煌びやかなジュエリーや美麗なガラス彫刻などを通して紹介
- キュビスム時代の油彩を含む絵画、グワッシュ、版画など平面作品も出品
僕の中の勝手なブラックの作品のイメージって、ピカソのキュビスム作品の横にブラックのキュビスム作品がバーター的に展示されているって感じなのですが、ジュエリー?ガラス彫刻??メ、メタモル・・・???
何だかイメージとかけ離れていてさっぱり分かりませんが早速展示室へ。
休日ですが閉館間際ということもあり落ち着いてゆっくり見られる雰囲気。
展覧会は序章から第5章までに分かれています。
まず序章では、ブラックのキュビスム作品などを展示。
これまでブラックの作品のマチエール(絵肌、絵の表面)に注目して見たことがありませんでしたが、《楽譜のある静物》などを見てみるとザラザラとしている印象。
これは作品に触れることを意識しているとのことで、確かに触れてみたくなるような質感をしています。
第1章ではメタモルフォーシス 平面 として、ブラックが晩年に取り組んだ「メタモルフォーシス」の制作活動の根幹である平面作品を紹介。
ここではグワッシュや版画を展示。
さらに、ここでは絶筆とも言われる《青い鳥、ピカソへのオマージュ》も展示。
あれ、僕の知ってるキュビスムのブラックさんのイメージと全然ちがうぞ??
すごく洗練されてる美しい絵ばかり。
第2章 メタモルフォーシス 陶磁器 では陶磁器作品を紹介。
陶器になると一気に立体感が出ます。
そして第3章 メタモルフォーシス ジュエリー
それより何だか急に展示室がカッコいいです!!
まるでジュエリーのブティックに来たかの様!!
って僕そんなとこ行ったことありませんけどね。イメージです。
それにしても、黒を基調とした展示室がカッコいい!!
展示室のカッコよさもさることながら、ブラックが追い求めてきた表現の形がこれだったのか!!と驚かされます。
単純にジュエリーのキラキラとした美しさは勿論の事、平面で描かれた作品がこの様な造形に変容するんですね。
こ、これがメタモルフォーシスかぁ!!
もう展示室で叫びたくなっちゃいましたよ。
その驚きは同じオシャレなブティックの様な展示室に飾られている第4章 メタモルフォーシス -彫刻にも如何なく発揮されています。
ブロンズと宝石を組み合わせた彫刻は煌びやかでありながらそれだけではなく造形の美しさ、洗練された色とその組み合わせ。
また、ガラス彫刻はアール・ヌーボーのガラス工芸で有名なドーム社によって制作されたとのことですが、これがまた美しい!!
ガラスの微妙な色合いの変化たるやもう。
これは是非実物を見て味わってもらいたい!!
こんな素敵な展示室にいる俺 = カッコイイ!
というかなり間違った公式が頭に浮かんでしまう程素敵な空間!
そして最後の第5章 メタモルフォーシス -室内装飾 ではモザイクや装飾パネル、タピスリーなどを展示。
ここにきてもやはり、素材の多様性、質感の多様性といったことが感じられます。
それらは平面からのメタモルフォーシス、つまり変容なのでしょう。
正直展覧会に訪れるまではいつものキュビスムのブラックのイメージしかなかったので、戸惑いと言いますか、疑問がかなりあったのですが、こうして晩年のメタモルフォーシスの作品を見ていくと初期のキュビスム的な作品からの繋がりが見えてくる様な気がしました。
かと言ってキュビスムとかアートとかよく分かんないしって人でも、単純にジュエリーや彫刻作品の美しさの魅力は存分に味わえると思います!
なので、決して玄人向けの展覧会ではないと思いましたのでお気軽に是非。