彫刻家 荻原守衛展 碌山美術館 | あおきゅーのぶらぶらアートブログ。

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展覧会の感想、美術館を巡る旅について、アートを本音でゆる~く綴るブログ。

新宿からスーパーあずさに乗り、松本駅でJR大糸線に乗り換え、穂高駅で下車、そこから歩くこと10分弱。

 

今回は碌山美術館にやってきました。

 

 

碌山美術館は今から60年前の1958年に地元の方々、およそ30万人による寄付によって建てられた美術館。

 

可愛らしい教会の様な美術館には、日本近代彫刻の礎を築いた荻原碌山の彫刻作品が展示されています。

 

まるで絵本の世界の建物の様な可愛らしい美術館の為、美術館を特集した本にも頻繁に紹介されています。

 

 

 

とっても可愛らしい美術館なので、どの角度から撮ってもバッチリ映えます。

 

また、そんな建物のドアノブも、

 

 

チョーカワ(・∀・)イイネ!!

 

 

 

さて、そんな素敵な美術館で現在開催中なのは“彫刻家 荻原守衛 -石膏原型に彫刻の生命を観る-”。

《会期4/21-5/27》

 

 

そもそも荻原碌山ってだぁれ?うーん

 

荻原碌山(1879-1910)(本名:荻原守衛)は明治期の彫刻家。

 

17才の頃、地元の安曇野で、多くの芸術家を支援した新宿中村屋の妻、相馬黒光に声をかけられたことをキッカケに芸術の道を歩む。

20代の頃には洋画家を志し、絵画を学ぶためにニューヨークへ留学。

 

しかし近代彫刻の父ロダン《考える人》を見た碌山は彫刻家になる決心をし、パリの美術学校の彫刻学部へ入学する。

学内でも成績優秀だった碌山は、ロダンに直接教えを受けるほどに成長。

 

パリから帰国した碌山は新宿にアトリエを構える。

そこで碌山は運命の再開を果たすことに。

それはちょうどその頃、新宿に中村屋をOPENさせた相馬黒光とその旦那の相馬愛蔵である。

 

碌山はそんな相馬夫婦と仲良くしていましたが、徐々に人妻の黒光に惹かれるように。

 

黒光の旦那の愛蔵は中村屋の事業や不倫で家を空ける忙しい日々が続きますが、それでも碌山の思いは勿論許されぬ恋。

 

しかし、そんな矢先、碌山は帰国してわずか3年、30才の若さで急死してしまうのです。

 

 

 

それにしてもロダンもそうですが、新宿中村屋に関係する作家達は短い人生ながら濃い~人生を送りますねぇ。

昼ドラや韓流のドロドロ系の恋愛ドラマもびっくりですよ。

 

新宿中村屋については以前、中村彝のアトリエを訪れた際にちょこちょこっと書いてますので気になる方はご参考まで↓

第33話 検証!中村彝の2つのアトリエ比較!

 

 

 

そんな碌山の作品ですが、やはりどれも自らの葛藤とその自らの生命を注ぎ込む様な作品なんですね。

 

碌山が相馬黒光をモデルとした代表作《女》は、日本近代彫刻の傑作として、重要文化財に指定されており、トーハク(東京国立博物館)や、東京国立近代美術館にもブロンズ像が収蔵されています。

 

荻原碌山《女》ブロンズ

 

さて、今回の展覧会に話を戻しますと、碌山美術館開館60周年記念として、そんな碌山が制作した普段は展示されていない貴重な石膏原型やデッサン、スケッチブックを展示。

 

ブロンズ像を制作する過程で作られるという貴重な一点ものの石膏原型を見ると、ブロンズ像よりも手を加えた部分や彫りの跡のエッジが際立っており、碌山の作品に対する思いがよりダイレクトに感じられる様。

 

荻原碌山 《北條虎吉像》1909年 石膏原型

 

他にも滅多にお目にかかれないスケッチブックやデッサン等も展示されていましたが、個人的に碌山の描いた絵に対して思ったのは、

 

荻原碌山 《ジョージ》1910年 


 「画家じゃなくて彫刻家になって正解ですわ。」


彫刻制作の為のデッサンは比較的イイ感じなんですが、どうも油彩画になると、全体的にボヤっとしている様な・・・

彫刻作品の様な生き生きとした鋭い表現力が油彩画には全く感じられません(←あくまで個人的見解です。)

 

それにしても碌山の代表作と言われている作品のほとんどは、亡くなる直前の数年間の間に制作されているんですね。

もっと生きていたらどんな素晴らしい作品を生み出していたのでしょうか。

 

 

 

さて、こちらの碌山美術館についてですが、訪れる前までは、一番最初に写真でご紹介した教会風の展示室しかないのかと思っていましたが、企画展を開催していた『杜江館』『第1展示室』『第2展示室』、鑑賞者の休憩所の『グズベリーハウス』といった建物があり、それぞれ建物が特徴的。

 

こちらが休憩所の『グズベリーハウス』。

 

 

山小屋風なのでしょうか。

 

また、そんな建物の奥にあったドアも、

 

 

チョーカワ(・∀・)イイネ!!

 

こちらは美術館の受付の建物。

 

これまた、

 

チョーカワ(・∀・)イイネ!!

 

 

展示というより展示で分かれているので、いちいち外に出なければならないのですが、そこが逆に魅力的なのがこの美術館。

 

木々の木漏れ日、鳥のさえずり、風の音。

安曇野の自然を肌にじかに感じられます。

 

 

 

なので展示室で作品を見ている時も鳥のさえずりが、

 

「ビョービョビョビョ!!セキセイインコ青

 

僕が行ったときは、なんかすげー激しい鳴き声の鳥が鳴いててめっちゃうるさかったですけどね・・・

 

 

 

 

また、風のざわめきも、

 

「ビュゴー!ビュゴー!台風

 

めっちゃ強風。

 

 

 

でも、そういったことも含めて、楽しい思い出になりますし、また別の季節に行けば、違った景色を見せてくれる素敵な美術館なのでしょうね。

 

東京からは行くには少し遠いですけど、自然豊かな場所ですし、近くには美味しいお蕎麦屋さんも沢山ありますのですごくおススメです。