長崎市の活水女子大前にある居留地時代の洋館「東山手甲十三番館」(国登録有形文化財)を訪れました。随分、久しぶりのこと。3月の明るい陽射しに洋館が生えて立派でしたが、目的は「居留地カフェ」に展示の美術作品の鑑賞です。

 水彩や油絵具の、それも具象画ではなくて、心の中にさわやかな風を送ってくれる抽象作品を求めていました。コロナ禍に逼塞した毎日から解放されたい気分が爆発したようです。長崎新聞のギャラリー情報欄で「これだ!」と決めて早速、出掛けたのでした。

 長崎市の美術家「城谷潤子作品展」。ベニヤ板の支持体に、同じ材で作った径約2センチ・厚さ3~4ミリのオセロの駒のような素材を、いくつも一定の形に貼りつける手法。ベニヤ板を彫刻刀?で浅く削った画面の中を駒で埋めていきます。画面から湧き出るリズム感がジンわりと伝わり、駒が生き物のように感じられてきます。例えれば、映画「トトロ」の〝まっくろくろすけ〟。駒は黒ではなく、パステル調のグレーやブルー、山吹系です。絵具はアクリルでしょうか。

 鑑賞しながら作品と語り合います。すると私も一緒に浮いていきます。大空に浮かぶノアの箱舟、それとも天空の城?

 2室に計7点。展示の様子を伝えたいのですが、残念ながら館内の撮影はできません。同展は31日まで。 

 啓蟄の土曜日。快晴の日光に滲んだ汗が、冷たい風に冷やされて快適なウオーキングでした。