私の住む蜜柑山の住宅地から町中に出る旧農道の町道。道幅2メートル弱。片側はミカン畑の石垣が続きます。

 この石垣が古く、各所に石の摩滅によるすき間と、岩石そのものの崩落が見られます。砂状になった石の欠片は、粘土の粉とともに側溝蓋に被さり、すき間や崩落跡の擁壁部分はイラクサ科のでかいカラムシの繁茂が見られます。

 そのカラムシ。きょう、孫の登校に付き合っての帰り道。どこからか、ブブッ、ブブッ、ブブッと奇妙な音が聞こえます。何だろう? と顔を上げて見ると、なんと、細い毛を生やしたオレンジ色の顔の黒い毛虫が首を持ち上げ、どうも私を威嚇しているようです。ドキッとしました。なんとも気味の悪い見栄えの毛虫です。見ると、一帯のカラムシの葉にビッシリと着いているではありませんか! 帰宅して調べると「フクラスズメの幼虫」とか。 

 石垣一帯のカラムシは道側に張り出すように繁茂しています。幼虫の長さ5センチ以上あります。登校する小学生の顔に当たってしまいます。毒は無いようですが、幼い小学生にとっては、これだけの群れは恐怖でしょう。私も、あの威嚇のポーズには寒気がしました。

 このカラムシの群生。約10メートル続いています。フクラスズメの幼虫に葉っぱを食われて、細い茎だけになった一帯が多く見られます。

 幼い小学生の顔に当たったりしないだろうか…。駆除は専門家の手が必要と思われます。

 家庭菜園などではカラムシは馴染みの雑草で、草取りでは手当たり次第に引き抜いていますが、この光景を見て自覚しました。今までのように、やたらに群生に身を投げ込んで顔まで埋めて引き抜こうとは絶対にしないことです。

 

 当地のミカン産業の歴史は古く、昭和の高度成長期には町の主要産業として品種の開発や加工などを手掛けながら生産量を飛躍させています。当然、蜜柑山も増えました。見事な石垣の擁壁も整備されたようです。

 しかしミカン消費量の減少、後継生産者不足など、ミカンやその生産を巡る環境も大きく変化しました。畑地も宅地開発が進み、農道が生活道路となり、石垣も歳を降るうちに欠けていき、ついには砂状になて側溝蓋を埋める仕儀です。そんな状態が各所に見られるのです。

 人々の心の隙を衝くようにカラムシが繁茂し、フクラスズメの幼虫が群生するのです。幼虫はサナギとなり、成虫の蛾として飛び交うのでしょう。これだけ大量の蛾が飛び交う様子を想像すると、これまたヒヤリとします。   みなさん、油断は禁物です