長与町議会の本年度第3回定例会の一般質問を傍聴した。

 コロナ禍の中、傍聴も自粛が呼び掛けられているが、今回、議員よりも職員の本気度を答弁から感じ取りたくて、足を運んだ次第。

 議場では、議員からやり込められる場面が多いようだが、なぜなのか? 疑問に思っていた。やるべき職務を全うして席に着いているのなら、何も慌てることも、とまどうこともあるまい。皆さん、若い職員たちに範を示すリーダーのはず、ピシッと答弁をキメて、胸を張って職場に戻ってほしいのだ。

 

 早速、格好のやり取りを傍聴できた。女性総務課長と女性議員との職員の働き方についての議論。現在の職場の在りようをテキパキと分かりやすい言葉で流れるように答弁する総務課長。その流れに乗ってか乗せられてか、議員の方の質問も次から次と流れるように言葉が出てくる。

 

 中村美穂議員の質問は職員たちの過重労働を心配しての内容だった。

 まず、現在の職員数、定数見直しの考え、時間外勤務の状況、テレワークの進行状況、他部署との連携について町長に問い、答弁をもらう。これは現状把握であって、議員としては相手の手の内の様子見、ジャブといったところ。

 そして再質問。議員は容赦ない質問を繰り出す。相手は〝専門家〟総務課長である。案の定、全職場の働き方の現状、現在のテレワークとこれからの見通しなど、少々早口の調子で応答する。やりとりを拾うと-。

 

 ーコロナ禍で自然災害も重なり、仕事量が増えているが?

「働き方改革、効率化で事務改善、負担を軽減する」。

 ー増員の考えはないのか? 

「令和5年度から定年延長するが、現在は再任用・再雇用で」、「制度設計したうえで必要なら改善を」。

 ー夜も帰れない職員さんが何人もいると思うのだが、毎月続くと病気になる? 

「現状を把握したうえで所管課長が指示している。総務としても昨年や前月と比較して繁忙期だけかどうか確認。テレワークなどで是正、業務分担も考えたい」。

 ー把握したうえでなら安心。テレワークですべての仕事はできない。個人情報の持ち出しはできないし、窓口業務もある。95人がテレワークというが、以後は?

 ー仕事は個人情報の扱いが多い。持ち出しが出来ず、個人情報はテレワークの対象としないなかで、会議録や資料の作成、広報の更新もテレワークで可能。研修はズームで多くが可能になった。新たなコミニュケーション・ツール『グループ・エア』で6月からスケジュール管理、自宅研修もしている。

 

 このようなやりとりが続いたが、全く飽きることは無い。問いに対して真正面から応える姿勢が傍聴者には〝本心〟が感じられ、肉声が読み取れ、答弁者・総務課長への信頼感が生まれてくる。そのような答弁者の持ち味、本気を引き出すには議員の質問力の功績も挙げなければならない。現状把握の静かなスタートから、いよいよ白熱する再質問。

 要は事前準備、その勉強ぶりが伺われる答弁であり、一方で落としどころを心得た質問も見事と言いたい。

 さらに私が好ましく思うのは、ベテラン総務課長のプロとしての自負。職責を賭けた答弁といえば大げさか、意外にスラスラと出てくる。日ごろから職務を、自身の人生として心得ておられるのだろう。

 中村議員も自らの信条・感性を信じて、思いを込めて質問していた。自身を頼ってきた町民の声を真っ当に受け止めた質問だったようだ。

 総務課長と議員。たまたま女性だったが、自らの体験と感性を信じて職責を全うする姿が清々しく映った一般質問と答弁だった。