「8・9平和展」でのペコロス岡野雄一さんの講話風景(長崎県美術館)

ナガサキピースミュージアムの井川惺亮展 

長崎原爆資料館での平和祈念式典ライブ放映 

 

 長崎原爆被爆から75年の昨日、平和公園での平和祈念式典の様子を見学(気持ちは参列)した。毎年、公園に設けられた会場の周辺から生で見学しているが、今年は屋内会場となっている原爆資料館ホールで、大画面モニターに写し出される式典風景を静かに眺めた。

 例年、司会をはじめ登壇者の顔は判別できず、場内放送が頼りの眺望だった。だが屋内会場のモニターでは、しっかりと被爆者代表や市長、総理大臣の顔が捉えられ、時にはアップで認識でき、これまでの〝外野意識〟から、今回は〝当事者〟に近付いたように感じた。

 田上市長は「長崎平和宣言」で、コロナ禍で医療従事者への拍手による激励が話題となった例を引き、75年間、苦しみに耐えながら核兵器への警告を訴え続けてきた被爆者に「拍手を送ろう」と呼び掛け、会場から拍手が沸いたのは感動的だった。この拍手の響きはおそらく、参列した被爆者がお互いの健康と頑張りをたたえ合うエールだったのではないか。

 閉会後、資料館から松山の爆心地公園に降りる階段中腹に立つ「ー〝誓いの火〟灯火台モニュメント」で折り鶴を折った。羽根に願いを書いてと言われ、「被爆者の皆さん、お疲れ様、ありがとう」と書いて塔に張り付け、被爆者へのお礼とした。

 私は毎年、平和公園会場で猛暑の中、流れる汗を我慢しながら式典を見学していた。何事であれ、汗と忍耐が成果を生み出すーとのドグマを掲げて〝参加〟していた。安保世代の悪習である。娘から「そんなこと古いよ、嫌われるよ」と言われたのだが、今更…と思っていた。平和を勝ち取る、との信念を表すつもりだったが、今回の屋内会場でのモニター参加はそんな意固地な考えを一蹴したようだ。

 被爆者の皆さんの安全・安心・健康第一である。屋外・屋内とも、それぞれに役割と良さがあり、大切な会場に違いはない。お疲れ様、ありがとう被爆者の皆さん。

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 この日は長崎県美術館での8・9平和展、タイピント画廊の「平和展」、ナガサキピースミュージアムでの井川惺亮展を駆け足で見て回った。