長崎県・長与町議会の令和2年第2回定例会が2日、開会した。
4月議会はコロナ禍で傍聴不可だったが、今回は規制を緩めて「自粛要請」。〝三密〟を防ぐため傍聴席の半数以上を着席不可とし、いつもは満席の町幹部席ひな壇も、町長席のある最前列の4人のほかは1~2人が着席。計15人前後が控えていた。
本会議では、まず無投票で3期目を迎えた町長の所信表明などがあり、引き続き一般質問。初日は4人の議員が登壇した。
私は八木亮三議員の〝そもそも論〟に立った質問に関心がいった。と言うより、行政官の心の隙、緩みを衝いたであろう質問。町民にとっても恐らく虚を突かれるような鋭い内容の質問に引き込まれたのだった。
コロナ禍による公立学校の臨時休校決定にあたり、町教育委員会が果たした役割は…。決定は、規則通り地域住民の意向を反映したのかどうか。
議員は「教育委員会とは政治的中立の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映ーをその制度の意義とした合議制執行機関」と設立趣旨に立ち返って主張。①4名の一般の教育委員の意見を聴いたか。②今年度から導入された学校運営協議会の意見は反映されたか。③議事録によると毎回「学校で事故等はあっておりません」となっているが、本当に体罰や暴力はまったくないのか。④4月から定例教育委員会の傍聴が禁止されている。教育委員会は法律上、公開が原則となっているが、どのような根拠・手順から非公開としたのかーなどと民主的手続きを重視した観点から質問した。
答弁に立った教育長ら教委幹部はー
①知事からの急な要請で教育委員会が開けず臨時校長会で決定した。その後、3月定例教委で報告した。②4月17日の夜に第1回学校運営協議会を開催したが意見聴取はしていない。③被害・加害とも個人情報に係る事案が多く、非公開で教育委員に情報提供し、定例教委には「事故なし」と報告していた。今年度から公開に変えた。④教委は公開が原則だが、4月は傍聴人を入れずに開催し、議事録を公表した。理由は新型コロナ対応。感染リスクをできる限り軽減させるため10名以上集まる集会参加を避けるための処置ーーなどと答弁した。
さらに議員は、非公開には三分の二以上の議決が必要と、地行法にあるが、「議決は?」と再質問。教委側は「とっておりません」と答弁。議員は「問題はないのか」と追及。すると教委担当者は「町教委傍聴人規則に『傍聴には教育長の許可がいる』とあり、これに照らしてお断りした」と答弁。傍聴の私には言い訳めいて聞こえたが、どうだろう。
八木議員の一般質問はとつとつと言葉を選びながらの言い回しで、決して聞いていて感情が高ぶってくるような発言ではない。しかし内容の新鮮さ、濃さに目を見開かされ、引き込まれてしまう。町長、教育長をはじめ、ひな壇の幹部たちも聞き入っていた。
議員の今回の質問は当然、教育行政の在り方に対しての疑問と提案だが、傍聴の私をはじめ多くの町民にとっても耳の痛い内容だったのではないか。子供の教育は学校に任せっきりで、学校運営協議会なる組織の存在、教育委員会が傍聴可能であること、議員の質問の核心にあった「レイマン・コントロール」なる考え方など初耳の事実。私自らの不見識、不勉強を思い知らされ、反省を迫る鋭いメッセージだった。