大相撲のテレビ中継が面白い。無観客で大音量の声援が無く、行司や呼び出しの声がよく通る。行司はつぶやきまで〝こんなことを言っていたのか〟と思うほど聞こえる。小兵・照強の手のひら山盛りの塩の蒔かれた音もバラバラバラッと聞こえる。
それに土俵下の審判員。普段は砂被りまで観客やカメラマンが座り、その所作が目立たないが、土俵下に落ちた力士が容赦なくぶつかってきて、審判を務める偉い親方も遠慮なしに転がる。たぶん、突っ張って支えると、かえって体を傷めるからだろう。勢いに任せてそのままゴロ~ン。笑っちゃいけないが、これも面白い。
13日目の昨日は元横綱・北の富士親方の味のある解説。土俵際の勝負が続き、「力士の踵(かかと)には目がある」と言った。
前頭八枚目の松鳳山と二枚目の徳勝龍の勝負。呼吸が合わず2度の立ち合い。徳勝龍は2度とも張り手を食わされ、かわいそうだったが、結局、勝負は土俵際でもつれて物言いがついた末、行司差し違えで松鳳山が勝った。徳勝龍は叩かれ損。踵の勝負か。
2番後の取り組み、炎鵬と大栄翔でも〝踵の目〟の良さ・強さで決まった。土俵際、炎鵬は俵に両足踵を掛けて両者同体で土俵下に落ちたが、物言い。写真判定では炎鵬の足が俵の内に確かに残っていたが、取り直しに。結局、同じような形の勝負の末、炎鵬に軍配が上がった。
この大相撲中継、小学校2年生の孫と一緒に観ている。孫が相撲に関心を示すのは初めてだ。前半まで中継した弓取り式がこのごろ放送されないのを不思議がっている。神事だから行われているはずだが、放送時間の問題か。今回の無観客での大相撲中継。新しい工夫で新しいファンを開拓しているようでもある。関取の皆さん、災い転じて精神で頑張ってほしい。