混乱のアフガンで命がけの医療、農業開発、生活支援を実行してきた「ペシャワール会」の福岡市の医師、中村哲さんが何者かにより撃たれて亡くなった。

 中村さんが代表でアフガン支援の活動を続ける「ペシャワール会」の事務局を担っている福元満治氏の悲しみと絶望の様子の写真が新聞に載っている。

 彼は福岡市で地方出版社「石風社」を起こした。中村さんに劣らぬ気骨のある人物。新聞掲載の顔は、以前、福岡市で会った時の当人とは思えない落胆と憔悴ぶりだ。

 彼は私が福岡市に勤務時代に出版社を創業、その顛末の話を聞きに行った私を笑顔で迎え、希望いっぱいの話をしてくれた。

 二日前、私に突然「国境なき医師団」から「大切なメッセージと贈り物」が届いた。初めてのことで、私は頭をひねるばかり。内容は、寄金と日ごろの支援を訴えていた。そんな不思議なことがあっての、この中村さんの遭難である。私は何ごとかを迫られたように、新聞を手に家内を歩き回った。福岡の中村さん、福元さん、そして国境なき医師団。何が、何故、と私は今も、立ちつくしている…。