台風17号襲来の前触れか雨が降り出した。台風はお断りだが、残暑が続く毎日には、つかの間の涼である。

 成長を始めたコスモスたちにも命の水。さぞかし喜んでいることだろう。 シートを突き抜けた苗

 コスモスは、あか道の壁際とフェンス際にズラリと、か細い茎を見せている。

 ほぼ3日ごとに如雨露で水をやってきた賜物だろう。

 そんなある日、なんと、防草シートを突き抜けた〝強者〟が1本いたのだ。まだ6センチほどで、少しの風でゆ~らり、ゆらりと揺れている。なんとも頼りなげな風である。

 シートはホームセンターで売っている安価な一般用。その黒い表面をよく見ると、網目のようなシートを生地にして両側をビニールで塗り固めたもののようだ。

 その一部に細かい穴があったのだろうか。あったとしても、その穴に小さな種が当たるというのも偶然もいいところ。天の配剤である。

 

 コスモスの種植えは、柔らかい土を指で小さく1センチくらい掘り、約10センチ間隔で蒔いた。その後、雨の日が続き、種が流されたのでは、と心配したのだが、どっこい、一部を除いてほぼ茎を出してくれたのだ。

 その種の一粒が雨水に流され、防草シートの下部に留まったのだろう。

 だが、わずか1ミリほどの細い細い茎、というより苗である。こんな、か弱い苗が、さて、どうやってシートを突き抜けたのか。針のような鋭い頭をもっていたのだろうか?

 風に吹かれて今にも倒れそうなので、周囲に砂礫を4、5粒重ねて支えにしてやった。

 ミカン園の畦や農道端のヒガンバナは酷暑にあてられ、満開できないままに中途半端に開花しては枯れている。

 不安定な気候が続く。コスモスよ、台風17号も、しなやかに交わして乗り切っていこう。