土曜日の朝、読書しながら聞き耳を立てていると、住まい下のマンション駐車場広場から複数の男性の声。何か声を掛け合い、話している。

 4人の男性たちが奥に広がる竹林の中から、青く太い大竹を引き出してきた。

 ひょっとして竹ん芸の支柱…? 文庫本を手に、着の身着のまま事情を確かめに見に行った。

男性の一人に聞くと「精霊船のみよしの材料」と言う。そうか、精霊流しがもうすぐだ。軽トラックの荷台に括りつけ、笹の束も積み終わったところだ。(竹ん芸は〝妄想だけ〟でした)

 そういえば過去に何度か、谷の中腹の広場で自治会や初盆にあたる皆さんが共同船を作っておられたのに出くわしたことがある。

 早速、引き返してカメラを手に、また竹林下まで走った。

 孟宗竹の長さは約8メートル、直径は15センチはありそうな太さ。約20メートル下った広場まで引きずるように、ゆっくりゆっくり監視役を従えて軽トラックを進めて行った。いよいよ今年もお盆が来る。

 このごろアカトンボが駐車場広場を群れ飛ぶようになった。

 ここには季節の変化を楽しませる自然風景がまだ濃く残っている。

 竹林を管理する地主さんはじめ自治会のみなさん、ご苦労さんですと、心の中で感謝した。