夏休みに入った小学2年の孫が「平木場太鼓に行ってくる」と、娘と出かけた。地元の民俗芸能の太鼓を4月から習っている。浮流で披露される伝統の太鼓演奏らしい。 

 長与では民俗芸能として「琴の尾太鼓」が健在。恐らく平木場太鼓もその流派なのだろう。

 孫は1歳のころから、父親方のじいじの故郷「唐津くんち」を毎年見学に連れていかれ、〝くんち馬鹿〟になってしまった。で、太鼓は早くから型を覚え、祭の雰囲気も身に付けていた。小学1年まで、私も何度も段ボール箱で代用した太鼓に付き合わされてきた。隣近所には迷惑をお掛けした。段ボールでも大中小で音の違いがはっきりとあって、さまになる。

 長与には、長崎の伝統芸能・長崎くんちを彩り、賑わす逆鉾を演じる人々がいて、地元で技を伝えている。そのうえ、今年の演し物の一つ「獅子舞」は長与の民俗芸能「吉牟田獅子舞」で、長与の関係者が出演すると聞いた。

 こんな地域環境の中に、孫の太鼓好きも高揚したのだろう。練習のおかげで、ばちさばきが巧みになり、リズミカルになった。見栄をきる振りもさまになっている。この夏休みで、また上達するだろう。大舞台に立つ日が楽しみだ。

 私の住む嬉里谷には変わり種の伝統芸能「鎖鎌踊り」がある。男児が集団で柄の長い鎖鎌を構え、殺陣の振りをする勇壮な踊りだ。地元の嬉里谷で親たちに披露したのは28年前、小学校の上級生たちが演じて見せてくれたのが恐らく最後だろう。学校内で披露の後、みんなで地元の谷にやってきてくれた。だが、これが今や「あった」という伝説になろうとしている。

 聞くと、保存は地元の一個人任せ。当人に伺うと、「財政上とてもやれない」と嘆いておられた。 衣装や道具類の保管、公演費用といった諸々の出費の問題がある。加えて「いじめが問題となっている折、こどもを刺激する」と世間の風潮を気にしておられた。鎖鎌踊りが暴力の動機に? 確かに心配ではあろう。

 だが、もう一度見たい。嬉里郷の民俗芸能、文化を繋いでいきたい。

 県主催だったか毎年、民俗芸能大会が催されているが、鎖鎌踊りもノミネートされているのだろうか。保存には町など公的な支援もお願いしたいものだ。

 孫の太鼓とコラボさせたら…なんて夢想しているジイジである。

 梅雨明けかな、ちょっと気分がいい日です。

「鎖鎌踊り」。メーンの鎖鎌武士の写真は紛失しました。すみません。