日本の国技、大相撲が揺れている。国際化は労働・経済・文化分野だけでなく早くからスポーツにも訪れていた。サッカーをはじめ高校駅伝、バスケ、ラグビーなどなど外国人選手がいなければなりたたないようだ。
大相撲も早くから国際化の波を受けてきた。関取勢に外国人が目白押し、特にモンゴル相撲で知られるモンゴル出身者は角界の牽引役だ。本来の神事が格闘技に変身するのも時間の問題だった。
きわどい取り口、失礼な立ち居振る舞い。15日間は、格闘技のモンゴル相撲を土俵で再現する日々と言っていい。特に、横綱白鵬の取り口には度々閉口する。張り手、猫だまし、すかし…。横綱の技とは思えない取り口の連発だ。
一昨日、昨日と土俵際の勝負が続いた。一瞬、早く相手の足が出たといった、下っ端のやるような勝ち方。きわどい勝敗は、到底、横綱とは思えない。横綱としての覚悟というか、品格といったような神業はまったく見せてくれない。彼に比べ、謙虚でひたすらに相撲道を目指し、倒れてしまった横綱稀勢の里の姿勢が光る。国技を継ぐ横綱だった。
昨日は、物言いがついて、白鵬に勝ちを与えた。一瞬早く…との判断。審判員たちは何を思って大横綱に際どい勝ち方を許すのだろう。彼の相撲は格闘技。挑戦者に金星をやってこそ場内は納得する。白鵬は何がなんでも勝てばいいのだろう。
国際化が進む大相撲の土俵。相撲協会は伝統ある国技としての大相撲と際どい技を横綱にも許容する格闘技としてのオオズモウのどちらを目指すのか、論議が必要ではないか。