長崎県諌早市多良見町の「たらみ図書館」で開かれている美術家グループの作品展を見に行った。メゾチントの黒と白のせめぎ合いが生命力を感じさせる銅版画に感銘を受けた。この作家の作品は何度か見ているが、いつ見ても明るさを含んだ闇。暗さを照らし出す白い花ー。見事な連作群だ。
出品作家は県内では、よく知られた人たち。カラフルな明るい色の構成もあるが、黒と白の暗色の作品が意外に目立ち、記憶に残る。余計な色のない主題に焦点を絞り込んだ作品がかえって心によく残る。白一色の半立体作品にも目を引かれた。
さて、引き揚げようと思ったところに館内放送。ホールで恒例の映画会が始まるという。映画はこのごろご無沙汰だ。即決、観賞して帰ることにした。
2008年制作のアメリカ映画「ボトルドリーム カリフォルニアワインの奇跡」。2時間余りの上映時間。ランドール・ミラーという監督をはじめ、脚本も出演者も内容も私は知らない。
カリフォルニアの田舎のワインが1976年、フランスのパリで行われた試飲会でついに常勝ボルドーに勝利を挙げるまでの話。醸造に励む親子、恋人同士の葛藤と仕事に人生を賭ける喜びを描いている。最初は退屈な感じでスクリーンを眺めていたが次第に目をくぎつけにされていった。拾い物の映画の1作だった。
モノクロの美とカラー映画の魅力を楽しんだ一日になった。
あっ、図書館に来たんだっけ。本を見ないままだった。これも今どきの図書館の役割か。