孫の肩たたきについての続き。

 童謡「肩たたき」の作詞者は西條八十。

「おえんがわには日がいっぱい たんとんたんとんたんとんとん」

と、かわいい声でうたわれる。

「日がいっぱい」に続き、「かあさん しらががありますね」とうたわれた後、

「まっかなけしがわらってる たんとんたんとんたんとんとん」と続く。

この白と赤の対比。さすが西條八十だ。かあさんのやつれが際立つ表現といえよう。   

 だが、芥子の花は今や御法度である。うたっていてドキっとさせる。

 

 幼子が芥子の花を見ることはほとんどないのと同様に、家庭から肩たたきの風景が消えたようだ。どこの家庭にも手軽に使えるマッサージ機が控えている。

 お茶の間のTVドラマでときたま、病に伏した老父母の肩をもむ嫁や娘の姿を見ることはあるが、これも一昔前のことか。じいじばあばにとって、肩をたたいてもらえる幸せは、病に伏せるまでおあずけということだろう。

 さらに言わせてもらえば、「肩たたき」では、かあさんの肩だけが歌われ、とうさんの肩は出てこない。じいさんばあさんの肩も。ひょっとして、とうさんの肩はかあさんがたたき、じいさん、ばあさんの肩はとうさんがたたくのだろうか。…少々僻みっぽくなった。