この町に住んで25年が過ぎた。隣の街で働いてベッドタウンとして暮らしてきた。だが、しかし、どれだけこの地域のことを知っているのか、はなはだ心もとない。
地域を知るとは、歴史・風土を知ること、隣近所の人を知ること、そして最近、暮らしのおおもとを司る政(まつりごと)を知ること、を思い知らされた。
町政の基本、町議会を傍聴する機会があった。本会議と各種委員会。じっくりと審議を聞いた。厚さ10センチはあろうかという議案書を担当職員たちがそれぞれ報告、それを議員たちが審議する。すでに議案書の厚さに圧倒された私は、報告する職員たちの苦労を思い、さらにこれらをまとめた議会事務局の職員たちに脱帽した。
委員会では、10日間ぐらいをかけて審議するのだが、出席議員それぞれ得意分野があるようで議案をチェックする。ここで知った。実のある委員会審議にできるかどうかは委員長の経験、能力次第ではないかということ。私の傍聴した委員会の委員長は、的確な采配を見せ、報告の不備、質問議員側の不備を指摘。自身の知る分野の議案では自らも体験なりを発言して議案を充実させる。
国政では、三権分立が言われるが、町の議会でも立派な立法権を行使していた。
議員はチェック機能の役割がよく喧伝される。しかし、傍聴して思ったのは、普段の実地調査に基づく政策能力こそが大事ではないか、ということ。
このことは議員数減が大方の流れとなっている昨今、いよいよ強まるのではないか。議員同士、あるいは担当職員と共に調査、政策づくりをする必要も考えられる。
地域を知ること、その第一に町政・議会を挙げなければならない。町の現実、意外な事実を知ることができ、町が生きていることを実感させる議会傍聴。みなさんにも勧めたい。