豊かなのに貧しい現代の日本 | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 小売店の米仕入れ価格は去年の5割も上がっているそうだ。原因は日照り。

 

 スーパーへの納入量は半分となり、購入制限が始まっている。全国ニュースで米コーナーの場面が映るが、完売した品目と売れ残りの品目がはっきりしている。好みの差というよりは、価格の安いモノから先に売れて行くのだろう。

 

 

 また米を多く使う外食店も大変らしい。特におにぎり屋は米そのものが主力のため、打撃が大きいだろう。

 

 近所のおにぎり専門店では1個250円もするが、都心部に同業店のメニューを見ると塩おにぎりで300円、具入りで320〰400円だ。更に来月になると値上げ予定だというから、500円に近づくかもしれない。

 

 ラーメン1000円の時代ですからね。価格転嫁できた店だけが生き残り、経済力のある客のみが利用するようになるかもしれない。庶民は年に数回、ハレの日にラーメンを食べに行く日が来るかもしれませんよ。

 

 部活の高校生が帰り道に寄ったラーメン店が、家族の誕生記念日に行く店になるかも。貧しいですね、日本は。何十年前に戻るのでしょうかね。

 

 でも世帯平均所得は結構高いのですよ。平均で552万円もある。平均値は一部の高所得者が引き上げるため、中央値(順位が真ん中の人の値)で見ると、437万円となる。

 

それでもそこそこありますね。高度経済成長期中の1975年の平均世帯所得は120万円だから、半世紀前の4倍近くになっている。その間、消費者物価は2倍になっているので、実質2倍近いアップが見られますね。ただ平均年齢が異なると、ライフスタイルの違いから単純に比較はできないため、年代を揃えて検討してみよう。 

 

 1975年の平均年齢は29歳だ。現在の物価に修正すると年収240万円。しかも当時は早婚で結婚すると女性は専業主婦になったであろうから、240万円で小さい子供をいれた3人が生活していたはずだ。今の29歳の方が給料が高く、しかも独身の訳だから、ユトリがあるだろう。同じ年代の実質所得で見ると日本人は豊かになっているので、貧しい実感を説明できない。

 

 

 では支出の中身を見てみよう。エンゲル係数は1975年:32.0%から2024年 29.8%と2.2ポイント低下している。エンゲル係数は消費全体に占める食費の割合で、貧しい人ほど高い傾向にある。ここでも現代人の方が豊かだと言うことが分かるが、それでも極端に大きな差はない。

 

 現代人の方が、家事サービスや趣味への支出が増えてエンゲル係数が大幅に低下したと思っていたが、それほど落ちていないのは実質所得が増えたからであろう。

 

 次に貯蓄面から見てみよう。1975年の日本の平均貯蓄率は23.2%もあった。投資の旺盛な国では貯蓄率も高い水準にあるので当然だろう。それに比べて2024年の貯蓄率は2.0%しかない。これは現役世代の貯蓄に回すお金が不足していることと、高齢者割合が増え、貯蓄を取り崩して生活しているのが原因だろう。このことから、高所得だが貯蓄できない近年の日本人像が見えて来る。

 

 余裕のなさは他の要因に求めることができるだろう。一つは教育費、医療費の増加だ。これらは必需財なので減らすことが出来ない。

 

 二つ目は通信費、娯楽費用など新たな支出の増加だ。人々の趣向が多様化し、ライフスタイルを求めるためにお金が必要になったこと。それに対し、半世紀前は規格品の大量生産・大量消費だから国民皆がイオンの売り場だけで服を買っていたようなものだ。

 

 3つめは社会保障費の増加だ。これにより、所得が増えても社保・税負担分引かれると可処分所得が減少する。

 

 4つめは非正規雇用の増加だ。格差が広がり、平均値の意味が薄くなった。平均値を大きく下回る人が増えていることが背景にある。

 

 5つ目は将来不安だ。半世紀前は老後問題を気にする必要がなかったが、現代は独身者が増え、老後を自分の所得で賄う必要が高くなった。面倒を見てくれる人がいないのだから当然だ。年金で不足する部分を現役世代の内にカバーする必要があり、その分、支出に回せなくなる。