市街化調整区域にあるトラックヤードの鑑定評価 | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 市街化調整区域には原則として建物を建築出来ないが、一定の条件では認められる。

 

 但し新築後にも制限が掛かるので注意が必要だ(許可制)。増改築や建て替えを行う場合、基本的に同じ用途であること、従前の建物の1.5倍の面積などだ。

 

 トラックヤードを例に取ろう。市街化区域内でも市街化調整区域内でも同じようなトラックヤードはあるが、このような条件の差が価値の差となって現れる。

 

 営業開始後に車庫を増設する、敷地の一部を造成する等の必要性が出てきても勝手には行えないのだ。一番厳しいのは用途変更だろう。これではトラックヤードとして使いたい人にしか売れない訳だから、市場性が限定される。高速道路のICの近くとか、幹線道路同士の交差点とか特別な優位性でもない場所でもない限り、安くなってしまう。

 

 ではどれぐらいの値段になるだろうか?

 

 市街化調整区域内にも探せば土地取引は少なからずある。でも用途は区々で大抵は用途制限付きであるから直接比較できない。

 

 偶然、お隣の鉄工所が取引されたとしても、取引価格は製造業者の価値であり、トラックヤードとしての価値と等しいとは限らない。

 

 まあ、参考にはなるだろうが、購入者の属性が異なると市場が分断されている訳で業務スーパーとコンビニが隣り合っていても同じ商品が異なる値段で売られているのと同じだ(こちらは利用動機に違いによる市場細分化)。

 

 市街化調整区域の取引事例として考えられるのは

・工場

・倉庫

・農業用施設

・農地、農家住宅

・農業用水路

・ドライブイン、休憩所

・ガソリンスタンド

・ゴルフ練習場

・トラックヤード

・資材置き場、機材センター

・砂利集積場

・セメント工場

・リサイクルセンター

 

  市街地に立地しない方が望ましい施設、遠距離ドライバーのための利便施設等が多い。

 

 多少用途が違ってもグルーピングすることで同じグループの取引事例を参考に出来る。例えばトラックヤードだと置き場という面では資材置き場、機材センター、残土堆積場と同じグループに入るかもしれない。或いは流通関連ということで、倉庫、物流センターと同じグループに入れてもいいかもしれない。

 

 重要なのは市街化調整区域内のトラックヤードと共通した場所に立地する施設を知ることだろう。分類できるグループが分かれば、価格の手掛かりになるからだ。

 

 別の面ではトラックヤードの事業収支から投資価値を把握する方法もある。運送業だと規模(台数)、顧客業種などから大体の稼ぎが見えてくる。

 

 遠距離なのか近距離なのか、路線便かdoor to doorか、元請か下請けか、一般運送か特殊運送か、共同配送か専属配送かなど。売上や利益水準から見て妥当な投下資本を把握し、土地、建物、車両、設備等に分解する。

 

 勿論、これらの作業を行って出た価格で売れるという保証はない。価格は最終的に交渉で決まるものだからだ。