不動産の機能的減価 | 猫好きのブログ

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  機械的に算出できる会計上の減価償却と違い、不動産評価上の減価修正は中々大変だ。

 

 減価には物理的、機能的、経済的減価があるが、面倒なのは機能的、経済的減価だ。何故ならこれらは目に見えないので、定性的な把握次第で金額が大きく変わるからだ。

 

 ここでは機能的減価について述べよう。機能的減価には①回復可能な減価と②回復不能な減価がある。

 

 ①回復可能な減価では回復に要した金額が減価額となる。例えばある設備の能力が不足していたとしよう。その時、不足を補うために必要なコスト相当分が減価額ということになる。もし機能的低下が著しくて、設備全体を新品に取り換えた方が合理的であれば、物理的な残価の全てが機能的な減価額となる。

 

 ②回復不能な減価は増設、改修、取替え不可能な減価をいう。例えば天井が低くて使いずらいとか、エレベーターの台数が少なくて、増設スペースがないとか、屋内駐車場で車路が狭いなど。

 

 これらの場合は平均的な物件に比べて低下する賃料相当額から減価額を求めることになる。例えば天井が低くて年間賃料が平均的な天井高さの物件に比べて100万円少なくなるとしよう。

 

 機能的減価額=減収額100万円×(1-経費率0.25)×複利年金現価率(r=0.06、n=20年)11.47=86万円

 

 勿論、全ての機能的減価の計量化が可能ではない。例えば、空調設備の能力不足による電気代の支出増分の計算やデザインの陳腐化(流行おくれ)による効用の低下、レイアウトの悪さ等。

 

 対象は賃料に置き換えることが出来るか、売上減少又は経費の増加分で把握できるものに限られる。