広大地の鑑定評価 | 猫好きのブログ

猫好きのブログ

資格試験とその応用

 地価の高い地区では採算の取れない施設があったとしても、それが最有効使用とは限らない。偶々、安い時代(戦前とか)に土地を買ったりしていたので、投下資産(簿価)が小さくて済んだかもしれないのだ。

 

 このように考えれば、環境に合った用途でも現在の取得を前提とすれば最有効使用にならないケースは非常に多く、評価者が独自に最有効使用を考える必要がある。勿論、土地利用のパータンは無数にあるので、正規確率の高い用途を優先すべきであろう。

 

 鑑定評価で事務所、共同住宅、店舗など、平凡な用途を想定するのはそのためなのだが、土地が広いと平凡な用途ですら簡単でないことが多い。

 

 例えば中心部に広大な駐車場があったとしよう。ここを開発し、事務所、店舗、共同住宅のいずれ或いは複合用途の建物の建築は可能だろうか?

 

 土地が広すぎて需要がないかもしれないのだ。平凡な用途故に既存物件との競争が激しく、スペースを埋めるのに苦労する。リスクが高いので、銀行が融資に応じないなど。

 

 このような土地は行政の再開発と連動し、地域環境を創造しなければ事業が成立しないかもしれない。例えば地域の拠点病院構想とか、図書館・コミユニティ施設を併設した高齢者マンションとか、ショッピングセンターの誘致等である。

 

 とすれば、汎用性から離れ、地価は独創的なプランに基づく収益性によって決まるため、最初に建築条件を付けなければ、一意の市場価値の計算は困難となる。

 

 そもそもコンペすら行われていない状態で評価する訳だから用途を絞り込むことは出来ず、評価者は敢えて汎用的な用途を想定してしまうのが現状ではないのか。

 

 その結果、評価書を見た人は現実離れしていて信用できないと言い出すが、だからといって単なる価値査定を行う者が独自の建物を想定することは、実現性の面から問題がある。

 

 仮に行政が計画に関与し、青写真が出ていたとしても、事業の採算性の判定は非常に難しい。他市の成功事例があってもここでも再現する保証がないからだ。