土地価格の相場と売れる価格 | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 相場坪●●円というが、これが通じるのは用途や面積が類似し、取引きが比較的見られる物件に限定される。

 

 

 仮に相場が立っている街路沿いの地域であっても、平均水準に比べて何倍も広い土地の場合は、購入者の属性が異なり、相場から離れた価格になることが多い。

 

 不動産関係者は経験的に規模大だからマイナス20%のように言うが、根拠を明示できないというのは、今の時代、不十分だ。これは上司が貴方を普段見ていますが、評価はマイナスですと言うのと同じだろう。

 

 何の項目について、他人の実績、標準値、目標値と比べてどれだけ違うのかとか、今期、こういうトラブルを起こしたからそれが響いているとかの定量、定性な事項を指摘しないと部下は納得しない。

 

 もし需要者の属性が違うとすれば、どのような属性の者が対象であり、彼らはどういう基準に基づいて土地を評価しているか、他のエリアの類似の土地は幾らで取引されているか等を調査する必要がある。

 

 例えば地域の平均的土地面積が100~200坪、対象地を1000坪としよう。これだけ広いと大手チエーン店が想定されるので、各種チエーン店が建ち並ぶロードサイド商業地域の地価が参考になるだろう。

 

 近隣地域の地価が坪30万円、ロードサイド商業地域の地価が坪50万円とすれば、対象地の地価は坪50万円に引き寄せられるかもしれない。

 

 ここでは土地の質と同種の土地の需給関係を検討する必要がある。もしロードサイド商業の需要が強く、土地不足になっていれば、大手チエーン店は対象地にも物色の手を伸ばす訳で、近隣地域の地価を無視して高く買うかもしれない。

 

 逆に魅力がなければ、幾ら安くても相手にしない。大手チエーンは地域一番地区を狙うものだ。妥協しても二番地区まででそれ以外に出店すると、収益が大きく低下するからだ。つまり土地の坪単価ではなく、投下資本収益率が投資の基準だということだ。彼らの活動範囲は広域なので、市内に適当な土地がなければ、他市の有望な土地を狙うだけである。

 

 こうして目論見が外れると、第2順位の属性者を分析することになる。例えば福祉系用途などだ。彼らの負担力を坪20万円とすれば、対象地の価格は相場の坪30万円の2/3になってしまう。

 

 無論、地主は売る必然性はないので、ひたすら高く売れるまで待つことも出来るが、何年後になるか分からない。通常、ビジネスとしては期限が必要だ。期限を無視すると、保有コスト、機会費用が累積していくことになる。

 

 ついでにもう一つ。仮に福祉施設の負担可能地価が坪20万円でも、これらの業界で土地の取り合いが起きていれば、支払限度額を上限として地価はアップすることになる。

 

 実際、需要者の効用は支払い金額よりも大きなものであり、需要曲線と均衡価格線に囲まれた消費者余剰が発生する。

 

 例えばM&Aでも購入希望価格は10億円だが、買える限度額は13億円のようなものである。どうしても欲しい人は購入希望価格を吊り上げどこかで妥協するが、買える限度額を超えると赤字になるので、それ以上は出さない。

 

 需要者が殺到すると一般的な負担可能地価を越えて高値で売れるのはそれが理由だ。実際、幾らになるかは事前に分からないものの、ある属性の需給関係についてはある程度判明するため、当たりを付けることは出来る。

 

 これが十分な根拠とはとても言えたものでないが、経験値で相場の何%と言うよりはマシであろう。