公務員一族の話 | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 Aさんは市役所職員だ。彼の祖父はこの市役所の特別職をしていたため、今の部長連中は下っ端の時から祖父に頭が上がらなかった。

 

 祖父は、Aさんが役所に入った時、部長たちに孫を宜しくと言ったのかは分からない。仮に言わなくても年功序列の世界では退職しても上下関係は残るため、上の機微を察するものである。

 

 そのためか、Aさんは大切に扱われた。本人は至って平凡な能力しかなかったが、直ぐにエリートコースに乗った。仕事が出来るかどうかは上が判断するものである。その上が忖度している以上、Aさんは仕事が出来る人と評価されることになる。

 

 彼は若くして結婚した。それは当然だろう。見た目も悪くないし、明らかにエリートコースの訳だから周りが放っておくはずはない。幸せは続くかのように思われた。

 

 だが彼は1年で離婚した。理由は彼が子供のままだったからだ。幼いころ、父親を亡くした彼は祖父に我儘一杯に育てられた。

 

 更に役所でも忖度される立場。決して威張ることはしなかったものの、上司から注意されず、結婚しても独身者のように好き勝手に生活し、奥さんにリストラされたのであった。

 

 でも職場ではエリートだから将来は明るい?

 

 いえいえ、そんなことはなかった。祖父は寿命を迎えて亡くなってしまった。それに部長連中だって定年でどんどんいなくなり、彼は後ろ盾を失った。

 

 そうなると彼は仕事の出来ない人間に過ぎない。やがて彼は閑職に飛ばされた。恐らく主流に復帰することはないだろう。