人口1万人に満たない過疎地に司法書士事務所を出して大当たりした人がいた。
法務局(登記所)が現地にある訳でもない、不動産屋も1軒もない町であるので、そんな場所に来る司法書士など今まで1人もおらず、空白地帯になっていたのだ。
この話は南国の島にやって来た靴売りの営業マンの話と似ている。島の人は皆裸足で歩いてた。それを見た営業マンはこう考える。
営業マンA「ここでは靴を履く習慣がないので、売れるわけがない」
営業マンB「客が手つかずのまま残っているではないか。全員に売れば儲かるはずだ」
このように同じ現実があっても、どのように捉えるかで結果は変わって来る。司法書士さんは営業マンBと同じ考えをしたのであろう。
実は町の人の法務ニーズは高かったのだ。高齢化が進んでいる為、家の処分や相続問題などが沢山あったが、相談先がなかった。こういう場合、素人はもやもやとしながら先送りするものだ。そして事が起きた時に慌てて動く。
司法書士が来たことで、事前対策を取ることが出来、過疎地の濃い人間関係を通じて依頼が舞い込んだというわけだ。
法務サービス空白地帯故に、一度信頼されると浸透するのは早い。こうしてこの司法書士は独占マーケットを手中にした。
流石にマーケット規模から見て二人目の新規参入は難しいだろう。
都市部は仕事も多いが、同業者も多い為、競争は激しい。需要者、供給者共に利己的に動くため、客が付いても油断できないのだ。近くに安く受ける同業者が現れると客は離反しやすい。
それに商売上手の人や資本力、信用力のある人が大きく仕事を取るため、実力がないとじり貧になりやすい。
過疎地でポジションを築くというのも賢い生き方である。