ヨーカドーの店舗閉鎖が続く | 猫好きのブログ

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 セブン&アイ・ホールディングスが2023年3月に発表したところによると、地方店を中心に新たに14店舗を閉鎖し、更に2026年2月末までに現在の126店舗から93店舗まで縮小するとのことである。

 

 何と仙台のショッピングセンターアリオの核店舗である仙台泉店や東京郊外の拝島店まで14店舗に含まれている。

 

 ピーク時にヨーカドーの店舗は300もあったのに激しい現象だ。ヨーカドーは総合スーパー業界の中で最後まで総合スーパー業態に拘ったが、1995年をピークにした下降を辿った。

 

 郊外ショッピングセンターへの出店が遅れたことがイオンとの明暗を分けた。土地を取得しない、借金を極力しない、単品管理、衣料品に強い、ドミナント(地域集中)戦略など、非常に優れた企業だったのだが、ヨーカドーの強みは時代と合わなくなっていた。

 

 イオンですら本業の総合スーパーでは儲かっていない。ショッピングセンターの家賃収入や金融・専門店といった複合事業で総合的に利益を出している。

 

 アメリカでの類似業態と言われるGMS(ゼネラルマーチャンダイジングストア)は1980年代になって衰退が始まった。丁度、中流階層の二極化が言われ出した時期だ。中流層を主たる顧客としていたシアーズ、ペニー、モンゴメリーウッドの各社は小売業のトップクラスだったのだが、ディスカウント業態、カテゴリーキラーなどに食われていった。その結果、アメリカからGMSという業態は消えてしまった。

 

 それでも価格ゾーンの低いウオルマート、ターゲットといった総合ディスカウント企業が相変わらず伸び続けたことを見ると、総合業態自体がダメになったというわけではない。時代にあった形に進化しないと総合、専門にかかわらず生き残れないということだ。

 

 郊外のヨーカドーを覗くと、食品売場の客は多いものの、2階の衣料品売り場は本当に人が少ない。コーナーのまとめ方など、工夫をして買いやすくしているのは分かるのだが、如何せん、しまむら、サンキに比べると価格が高すぎる。

 

 本来、実用衣料は大量生産大量販売低価格という特性上、総合スーパーに強みがあるはずだが、価格を下げることができず、売れ筋に拘ったため、隙間が生まれ、しまむら、ユニクロ、サンキといった低価格チエーンに浸食された。

 

 本来、ヨーカドーが最も得意なはずの下着ですら、ユニクロに大きく奪われたぐらいだから酷い物だ。ヨーカドーの食品特化戦略は最後の砦を守ろうというもので、これを失うと後がない。同じ1階のドラッグ化粧品部門まで、ドラッグストア業界に食われている。

 

 でも食品だけだと商圏が広がらない。ヨーカドーまで行かなくても近所に大きなスーパーがあるからだ。食品部門しかないドンキホーテのようなものだろう。一通り揃っているから人が集まるのだ。

 

  閉店しない店で開いたスペースはテナントに貸し出すことになるだろうが、テナントだけ埋まらない。総合スーパーの売り場は中途半端に広いという問題がある。

 

  個人的にはヨーカドーは好きなので、店が減っていくのは残念だ。地方によってはヨーカドーがデパート代わりになっている。イオンモールは車がないと行けないので、中心部近くにあるヨーカドーは徒歩、自転車客にとっては非常に重要な店だ。