衰退しているのに渋滞する都心部 | 猫好きのブログ

猫好きのブログ

資格試験とその応用

 A市は中規模都市であるが、日中の都心部は車で渋滞している。都心部から百貨店が撤退し、商店街を歩く人は少ない。全国でよく見られる風景である。なのに車は多いのだ。

 

 自分が住む町でないので、限られた範囲でしか確かめることが出来ないが、バスに乗って面白いことに気が付いた。

 

 郊外から出発し、都心行きのバスに乗る。当初、バスに乗り降りする人は少なく、道路も混んでいないため、スムーズに進むが、都心から2キロ手前になると車速が落ちているのが分かる。そして都心部に入るとノロノロ運転が始まる。

 

 

 バスは国道という動脈を走るが、国道に合流する車が都心部に近づくに連れて累積いくため、混雑度が右肩上がりになるというわけだ。

 

 では何故、衰退している都心に用事のある人が多いのか?

 

 一つは、未だに面積当たりの商業集積が郊外よりも大きいことが挙げられる。ということは買い物客、納入業者も多いことになる。

 

 二つ目は、行政機関、大病院、文化施設が都心部に立地していること。これらも利用者は多い。行政機関を訪問する住民、業者の人数はイオンモール来店客と変わらないだろう。大病院もそうだ。1つの病院で外来患者数は2000人以上いるので、中心部に大病院、中堅病院を幾つも抱えるA市では1日に1万人近くになるかもしれない。この他に付添人、見舞客、出入り業者も加わるから、やはりイオンモール1つ分ぐらいにはなる。

 

 三つめは郊外地区から都心部を経由して別の郊外地区に行く車が見られることだ。A市の都心部から放射線状に幹線道路が郊外に延びており、都心部ルートを通るのが外回りにも近道になる。

 

 四つ目は都心部はオフィス等の業務活動が活発であることだ。オフィスがあると出入りする人が増えるし、ホテルも必要になる。電車で来街する人は郊外ではなく、都心部に泊まる人が多いであろう。

 

 五つ目は、都心を取り巻く既成市街地(アーバン地区)の人口密度が高く、これらの住民は未だに都心性が高いことが挙げられる。その証拠に地区内には大規模店舗、ロードサイドショップが比較的少ない。地区外に購買力が流出しているので大型商売が難しいからだ。これらの地区は都心から2、3キロ以内なので、自転車で都心に行くことができる。彼らの購買力を都心部が吸収している。

 

 こうしてみると都心部への流入量は未だに多く、都心部の活力は言われているほど衰えていない。ただ流入者達が商店街で買い物するかは別問題である。

 

 そもそも仕事をしている人は買い物する余裕はないだろうし、通院のために来た人はそのまま帰ってしまう。特に他の用事があって車で都心部に来た人は有料駐車場を使ってまで買い物しないであろう。

 

 都心部全部をシャッター街のような目で見るのは間違っている。A市の統計資料を見ると、都心地区の人口は減るどころか、近年微増になっている。高齢者にとっては車に依存する郊外よりも歩いて生活できる都心部の方がずっと便利なはずだ。実際、全国各地にある都心部の複合施設の上層階マンションは入居率が高いことが多い。