ユーチューバーとビデオグラファー | 東京夜時

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宇都宮秀男によるコラム。月木更新。

ユーチューバーが小学生のなりたい職業ランキング1位になったとき、
最初の頃は少なからず驚きをもって受け止めた。

僕が小学生の頃は、プロ野球選手やパイロットが1位をよく占めていた。

大人になるにつれて「現実味」を考えるものだが、そういう意味では、この小学生のランキングは「憧れる仕事としての純度」は高いものがある。

あるテレビタレントがこう言って非難を浴びた。

「ユーチューバーにちゃんとしている人います? 騙されてますよ」

感情論は置いておいて、ユーチューバーが流行からメインストリームに変わる日はもう遠くないのではないかと思う。

ユーチューバーのHIKAKINさんがパイオニアとなって、まさに非課金で映像を楽しめる潮流を生み出した。


お笑い芸人がユーチューバーになる流れも好きだ。キングコングの梶原さんは、漫才の大会で心身を消耗している印象が強かったがここでは伸び伸びしている。



個人的にはオリエンタルラジオの中田敦彦さんのYouTubeが好きだ。ランニングしながらこれを聴くのが最近のお気に入りだ。



昨日も古田くんと話していたがキャンプ動画もいい。

芸人のヒロシさんが出ているが、無理に面白いことを言おうとしない。

無理がないし、ただ好きだからやっているという純度の高さが人の心を惹きつける。



芸人だけじゃない。動物だってユーチューバーになる。



唐揚げ食べるだけでもユーチューバーになる。
これで180万回も再生されている。


そしてだいにぐるーぷはビデオグラファーとコラボして映像をつくっている。映像のクオリティが確かに高い。


ビデオグラファーとは、自分で企画から撮影から編集、モーショングラフィックまで全てやる人だ。

ユーチューバーとビデオグラファーのコラボも増えるだろう。

実際、ビデオグラファーでありながら制作のコツを紹介するユーチューバーもすごく観られている。



今日、Vookの求人サイトから応募のあった19歳の男性と面談してきたが、彼は高校卒業していきなりビデオグラファーになった。

すごくクオリティの高い映像をつくっていて驚いた。機材も自前で揃えて、「稼いだお金を税金にもっていかれるし、借りるより買った方が早い」ということで、URSA Mini Pro 4.6K G2やBMPCC6K、さらにはEasyrig Vario 5+Sereneなど総額400万円くらいの機材を揃えていた。

すべて独学で海外のチュートリアル動画などから勉強したらしい。いつかここでも紹介したい。

彼は「映像だけじゃなく、ウェブやアプリ、システムも自分でつくりたいんですよね」と言って勉強しているらしい。

そういう時代だ。この前のビデオグラファーズトーキョーでも、明治大学や慶應義塾大学を卒業して、どこにも属さずいきなりビデオグラファーとして活躍している人たちに会ったし、社会人としてのマナーや応対も十分しっかりしている。

そういう人がこれからもっと活躍するだろうし、20代前半で年収1000万円プレーヤーも続出するだろうと思う。

ウェブ動画広告はテレビCMからするとその地位を低く見られがちだが、そうではないということに気づき始めている人もいる。

歴史ある広告のTCC新人賞でさえ2017年、2018年はTV CMを逆転した。こういうことが増えていくだろうと思う。

(コピー年鑑2019より。肝心なところが誤植だが、右側がWEBムービーでのTCC新人賞)

カヤックさんとナチュパラで一緒につくったタウンワークのバイトあるあるの動画広告で、高橋祐司くんがTCC新人賞を受賞したが、審査委員の麻生哲郎氏はこうコメントしている。

「WEBだからできたと思ってほしくない。できればこういうものこそ堂々とTVという爆発力がある舞台でやってほしい。有名無名関わらず、愛すべき主人公がいて、商品のある舞台を駆け回っている。このシリーズは新しい人気者を作れる可能性すらあった、みんなが楽しめるものだと思うからこそ、です」

ユーチューバーにせよ、ビデオグラファーのつくる作品にせよ、共通するキーワードは「純粋な楽しさがそこにあるかどうか」ではないだろうか。

楽しんでいる人を見るのは楽しい。
楽しんでつくったものの楽しさもまた

動画を通して熱量の純度は透けて見えるものなのかもしれない。