デザインとアートの違い | 東京夜時

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宇都宮秀男によるコラム。月木更新。

デザインとアートの違いは何だろう。

よく「デザイナーとアーティストの違いは何か」と話題になる。
もちろん答えは無限にある。

ランドスケープデザイナーの
ハナムラチカヒロさんはこんなことを言っていた。

「デザイン・・人の役に立つもの・機能を持つもの」
「アート・・・人の役に立たなくてもいいもの・機能がなくてもいいもの」

それを前置きをしたうえで、

「ただしアートは人の心や人のまなざしを変えることができる。
 それはある意味、一番役にたつものかもしれない」

と言っていた。

       *

先日、ナチュパラスタッフのみんなで「パデル」という遊びをやった後、
グラフィックデザイナーの故・伊藤 敦司さんの個展に行ってきた。

彼の10代・20代の頃の作品が多く展示されていた。

























僕の知らない伊藤さんをそこにみた。
僕はずっとデザイナーだと思っていた。

実際、僕らでも一度は目にしたことがあるようなデザインをたくさん手がけている。
20代の頃は日本デザインセンターでかなり売れっ子デザイナーだったと聞いている。


(有名な烏龍茶のデザインも伊藤さんの手がけたデザインだ)

でも、そこに並べられていた作品からは
アーティストとして生きようともがいていた
エネルギーのようなものをみた。

僕は1枚の図画と工作を譲ってもらった。
だって「伊藤敦司図画工作」という名前で活動していたから。





病気のため若くして今年の1月に天国に旅立つ直前まで、
彼はいつも東京夜時の感想を丁寧に送ってくれていた。
そんなことしなくていいのに。

そしていつも「うつさんと伝説をつくりたい」と口癖のように言っていた。

そうだね、ごめんよ。

でも、あなたの意志と才能を僕は絶対に無駄にしないよ。

そしてあなたがアーティストして生きようとしていたことも。

いいじゃない、隠さなくたって。どっちも目指したっていいじゃない。

役に立とうが、立つまいが、そんなことは誰かに任せちゃって。

伊藤さんの作品を1人でも多くの人に見て欲しいから、

今日はタイトルもちょっといやらしく工夫してみたよ。

どうせ、いやらしい世界なんだから、

いやらしいタイトルをつけなくちゃ。

ハナムラさんから教わったこともフリとして

いやらしく活用させてもらったよ。

だって本当に届けたいのはあなたの作品だから。

そしてあなたが好きだった言葉を、これから体現してみせるよ。

「自由に、しかし、楽しく」ね。