没頭 | 東京夜時

東京夜時

宇都宮秀男によるコラム。月木更新。

ナチュパラの事務所に
最新のカラーレーザー複合機が導入された。



佇まいが気持ちいい。

「ナチュパラの今後の仕事を支えてくれよな」と
語りかけるような気持ちで、誇らしげに開封していたら、

スタッフの水主君が何度も
「インクが高そう・・・」とボソボソ言っていた。
彼の天職は購買部長かもしれない。

香取君は目をキラキラ輝かせながら
「大量のスキャンできるんですか?
 アニメつくるのにめっちゃ助かります!」と言っていた。

そうそう、そういう言葉を聞きたいのよ。

大げさかもしれないが、
クリエイターがワクワクする環境をつくるのが
ナチュパラ創業者としてのやりがいなのだ。

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創作に没頭できる環境のなかで価値のある作品が生まれ、
その作品が人を楽しませ、人の手助けをする。
そして、あとから富がついてくる。
それがまた会社を発展させていく。

そんな経営の教科書1ページ目に書いていそうな
基本的サイクルを実感できるのが楽しい。

とらが ぐるぐるまわって バターになるように、
もう結果は気にせず、
ひたすらぐるぐる回っていきたい。

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ある新聞記事でラーメン「一風堂」の創業者・河原成美さんの
インタビューがあった。

1979年、彼は創業前、知人にこう言われた。

「おまえは『小人閑居して不善をなす』という言葉を知っているか?
 つまらない人間は暇を持て余したら、ろくなことをしない。
 おまえもそういうタイプの人間かもしれない」

そして創業後3年間は休まず必死で働いたらしい。

今日の店名の知名度を考えれば、
彼の努力が如何程のものだったか想像に難くない。

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オードリー若林さんのエッセイ本にもこんなことが書かれていた。

「(自分の心の中にいるネガティブモンスターは)
 時間が弛緩して一人でいる時、つまり暇な時に限って現れる」
「没頭によってネガティブを体外に排出する」
「ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ」

と。

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思えば独立してから6年間、
そのほとんどの時間、創作に没頭していた。
浮き沈みありながら、なんとか再来月で5期目に突入できるのは
そのおかげだったのかもしれない。

5期目からはもう少し視野を広げて、
求められることと新しいことをどんどんやっていきたい。

ナチュパラの仕事に没頭していく先において、
いつかバターの代わりに、
水主君の天職を用意してあげられるように。