佐渡に行ってきた。
新潟からフェリーでおよそ1時間。
車を走らせていると、岩にへばりつくように真っ直ぐに生えた松。
さらに走らせていると「願」の地を発見。
そこは静かな地元の海だった。
海岸は美しくもあり、神々しくもあった。
すぐ近くに大野亀というデカい岩があった。
岩というかもはや丘である。
心地のいい場所だった。
✳︎
時代小説の傑作を多く生み出した作家・藤沢周平。
かつて作家になる前、食品業界紙の記者をしていた。
名を成してから、旧知の社長に伝記の執筆を頼まれた。
迷った末に引き受けた理由として、こう述べている。
「15年間、その業界から暮らしの糧をもらったことを、
かりそめに思うべきではないという気持ちが強かったからである」
何事もかりそめに思うかどうかは
他人が決めることではなく本人が決めることだと気づかされる。
✳︎
僕が勤めていたインテリジェンスという会社から
多くの仕事の依頼がある。
それをかりそめに思う人もいるかもしれない。
でも、元来、「働くということ 生きるということ」に興味がある。
人はどう生きるべきか、
どうやって職業選択をして、選んだ道でどう生きるか。
伝記を買いあさって読みふけるのが好きだった。
夏目漱石の「職業学」の考えにも心酔した。
そのテーマはインテリジェンスにいた頃も、今も変わっていない。
当人にしてみれば、映像というアプローチでそのテーマに関われることは
ありがたい限りだ。
✳︎
東京夜時も「働くということ 生きるということ」を
テーマに書くことがよくある。
また、何のオチもない旅の話を書いたり、
旅とは何の関係もない作家のエピソードを書いたり、
かりそめの備忘録として書くこともよくあるので、
あしからず、おつきあいください。