この問題については、ネットで検索するといくつかヒットしてきて、同じような問題意識を持っている人がいるんだなあ。と感じていたところです。

実は、私も、平成26年6月、当ブログに投稿したところなのですが、近年、状況が悪化してきたので、
昨年の10月、三浦市の目安箱に投書してみました。
内容は、
「このまま放置すると間違いが正しくなってしまうため、在京キー局に間違いを正すために、文書で通知などしたらどうでしょう、というものです。」

つまり、「嘘もつき続ければ真実になってしまう」ということです。

そして、三浦市からの回答が以下の通りです。

 「三崎」のアクセントは、いわゆる地元(三浦市内や近隣地域)における従来からの読み方だと、「み」を高く、「さき」を低く発音することが多いようです。
 また、「み」を高く、「さき」を低く発音する場合であっても、例えば、「三崎のマグロ」と「三崎マグロ」では、前者では「み」を高く、「さき」を低く発音しますが、後者では「み」を低く、「さき」を高く発音するように、「三崎」の前後に他の言葉が附属するとアクセントが変わることもあるようです。
 一方で、公共放送における日本語のアクセントが掲載されている『NHK日本語発音アクセント新辞典(2016年5月 NHK放送文化研究所編集)』においては、「三崎」のアクセントは、「岬」と同じように、「み」を低く、「さき」を高く発音するとされています。
 上記の辞典は、『放送で使う日本語のアクセントについて「よりどころ」がほしいという声』の高まりを受けて発刊されたものですが、この中には『このアクセント辞典では、「ここに示したアクセントであれば、ある程度あらたまった場面で使っても、多くの人に自然に受け入れられる」というものを示すようにしています。つまり、ここに載せていないアクセントを「日本語として間違っている」とか「おかしい」などと否定しているものではないことを、まずはご理解ください。』と記載されており、公共放送では、地域ごとに方言やアクセントの違いが大きい日本において放送を聞く人が混乱をしないよう、『多くの人に自然に受け入れられる』アクセントとして、「み」を低く、「さき」を高く発音していると思われます。
 ご投稿のとおり、「地名は地域の歴史に根差したもので、地域のアイデンティティに関わる大切なこと」という認識は市としても同じであります。
 そのため、もし地名が間違って放送されるようであれば訂正の依頼等をすることも考えられますが、公共放送で使用されている「み」を低く、「さき」を高く発音するアクセントは、あくまでも「放送用のアクセント」であり、また、各地域によってアクセントが異なることも考えられますので、特定のアクセントについて、市として「正しい」又は「間違っている」と判断をすることは考えていません。
 貴重なご提案をいただいたところではありますが、在京マスコミ各局あてに市として文書で通知等を行う予定はありませんことをご理解いただければと思います。

ということで、放送用のアクセントなので、しょうがないというものでした。


その後、半年余りが経過しました。
相変わらず、テレビで紹介されることが多い「三崎」ですが、すべての番組が「岬」のイントネーションで発音しています。
つい先日の番組では、「三浦三崎」も同じように発音していたので、もうがっかりしました。

この間、たまたま話をした横浜の人に聞いても、「え、知らなかった。テレビでそう言ってたからそれが正しいと思っていた。」と話されていました。
テレビの影響力は非常に大きいのです。

すでに「三崎」の地名は全国区になっているのです。

たとえば「熱海」や、「神戸」、「富山」などを思い浮かべてください。よくわかると思います。

最近の言葉の乱れはひどいものがあります。特にイントネーションを平坦にするのが流行っているようです。「クラブ」や「ライブ」「メンバー」「サロン」など沢山ありますが、テレビのアナウンサーも平気で使っています。
格好いいという感覚なのでしょうか、少し昔は、全て頭にアクセントがあったものです。
この辺は流行による若者言葉みたいなものなので、それほど目くじらたてるほどのことはないと思います。

しかし、「三崎」は地名です。人の名前と同じです。
佐藤が同じように扱われれば、気持ち悪いとうか、失礼ですよね。

また、三崎の後ろに言葉が付属するとアクセントが変わるのは法則みたいなもので、だから正しいかどうかわからない、という理屈にはなりません。
例えば、地名の「恵比寿 ↓」を考えてみてください。「恵比寿ラーメン」になると変わりますよね。「↓ ↓」ではなくて、「→ ↓」になるわけです。
単体で「恵比寿」を「→」で発音すると七福神の恵比寿様になってしまいます。


NHKのアクセント新辞典が間違っているのです。やはり、市としてただす必要があると思います。
市民が気持ち悪いのですから。

今は地域性に価値があるのです、方言を大事にする時代なのです。
皆さんはどう思われますか?

三浦市の職員は三浦市民ではないのでしょうか



どうやら、この現象、「アクセントの平板化」というようです。
以下、国立国語研究所HPからの引用です。

解説:アクセントの平板化

最近,若い人を中心に「彼氏」「美人」などの言葉が,昔とは違って平らなアクセントで発音される傾向が見られます。これはどういうことなのでしょうか。アクセントとは何かということも含めて,順に見ていくことにしましょう。

日本語のアクセントとは

「雨」と「飴」はどちらも「アメ」と読む同音異義語ですが,実際に声に出して読んでみると,声の高さにはっきりと違いが出ます。NHKのアナウンサーなら,「雨」は「ア」が高く「メ」が低い,反対に「飴」は「ア」が低く「メ」が高い,ということになるでしょう。このように,声の高さの高低として捉えられるのが,日本語のアクセントの特徴です。
とはいえ,アクセントには地域差がありますので,ここではNHKのアナウンサーが話すような標準的なアクセントをとりあげることにします。

声の高さの下がり目がポイント

それでは,「ア」や「メ」のように仮名一字で表される音の一つひとつについて,ここは高い,ここは低いと決っていることがアクセントなのでしょうか。
実は,そうではありません。言葉として大事なのは,むしろ声の高さが高から低へと変化する下がり目の方なのです。個々の単語にこのような下がり目があるのかないのか,あるとすればどの位置にあるのか,ということがアクセントとしては重要です。アクセント研究の世界では,下がり目のあるものを起伏式アクセント,下がり目のないものを平板式アクセントと呼んで区別しています。

平板式アクセントの見分け方

例えば,「イノチ(命)」は高低低,「ココロ(心)」は低高低のように,高から低への下がり目がありますから,アクセントはどちらも起伏式です。これに対して,「オトコ(男)」「サクラ(桜)」は低高高で下がり目がありませんから,両方とも平板式と言いたいところですが,これらに助詞の「が」を付けてみてください。「オトコガ」は低高高低,「サクラガ」は低高高高となって,明らかな違いが現れます。
「オトコ」は語末の「コ」の後に下がり目がありますので,実際は起伏式だったわけです。結局,助詞を付けても最後まで下がり目の現れない「サクラ」だけが平板式ということになります。

アクセントの平板化とは

「トショカン(図書館)」のアクセントを例にとりましょう。この語はもともと「ショ」の後に下がり目のある起伏式アクセントだったはずですが,最近では平板式の発音も多く聞かれるようになりました。読者のみなさんの発音はいかがでしょうか。このように,従来,起伏式で発音されていた語のアクセントが,平板式に変化していく現象を指して「アクセントの平板化」と呼んでいます。

平板化はなぜ起こるか

東京の言葉を中心に,アクセントの平板化は大きな流れとなって進行しています。それでは,このような変化はなぜ起こるのでしょうか。難しい問題ですが,まず考えられるのは,記憶の負担や発音の労力を軽減して,「コスト削減」あるいは「省エネ」で行こうということです。起伏式の場合,個々の単語ごとに下がり目の位置を覚えなければなりませんが,平板式はその必要がありません。また,下がり目が無ければ,発音の労力もその分だけ減って楽になるということでしょう。

平板化アクセントの印象は

ところで,「サーファー」「モデル」「バイク」「ビデオ」といった外来語のアクセントの平板化については,「専門家アクセント」という面白い指摘があります。平板化がいち早く起こるのが,その単語を普段からよく使う人たちの間であり,ある種の単語のアクセントを平板化することが,その分野によく通じていることの目印になるというのです。また,例えば「バイク」を平板式で発音する人たちの間には,仲間意識が育つことにもなるといいます。
起伏式アクセントは,平板式に比べて確かに際立って聞こえます。それを平板化して滑らかに発音すれば,どこか特別扱いを解除したような気分になるのでしょう。ある種の単語を発音の面でも自明のようにさらりと扱うことが,自分が専門家であるとアピールすることにつながる,そんな意識が働いているのかもしれません。
(相澤 正夫)