ドル円と日経平均株価の関係
先日、10月4日(投資の日)のイベントで、
三菱UFJモルガンスタンレー証券の藤戸さんの講演を聞きました。
資料の中で、ひとつ、興味深い分析チャートがありました。
過去20年の日経平均のドル/円レート水準別相関係数のチャートです。
チャートから次のことがわかります。
① ドル円が105円より低い時 ドル円と日経平均株価は、正の相関をする。
② ドル円が105円から122円の時 ドル円と日経平均株価は、相関しない。
③ ドル円が122円より高い時 ドル円と日経平均株価は、負の相関をする。
つまり、
円安が進み、同時に株高になるのは、ドル円レートが105円までで、
105円から122円までは、ドル円と日経平均株価は、連動しなくなり、
122円を超えると、今度は、円安株安になるということがわかります。
現在ドル円レートが107円付近ですから、
日経平均株価とドル円レートが相関しないのも、納得がいくわけです。
そして、
過去のデータから、ドル円レートが122円を超えると、円安株安、
つまり、日本経済にとって、マイナスとなる、悪い円安となることがわかります。
ただし、このデータ分析も、過去のデータの分析ですので、経験則にほかなりません。
ロジックとして現時点の円安による、企業収益性の転換点を探るには、
それぞれの企業の収益性転換点の情報を積上げるしかないんですけどね。
それにしても、
概算として、ドル円レートが122円を超えると、日本経済にとってマイナスになるという分析結果は
金融緩和策をとるにあたって、重要な目安となる数値であると考えています。
また、逆に考えれば、ドル円レートが105円から122円のレンジに収まれば、
日本経済(平均株価)は、為替レートの影響を受けない、均衡レートと考えることもできます。
いずれにしても、データ分析からも、追加緩和によって、これ以上(105円以上)、
円安になっても、もう、日経平均株価は上がらないのです!!
(もちろん、流動性向上の点からの、一時的な株価の上昇は考えられますが。)
構造改革や規制緩和による成長戦略がカギとなるのでしょう。
p.s.
インドのモディ首相のモディノミクスが脚光を浴び、インド株式が上昇しています。
藤戸さんの資料を見ると、そのポイントは、次の通りです。
① 小さな政府
② 自由貿易
③ 市場経済
④ 規制緩和
⑤ 民営化
⑥ 外資導入
これらの政策を推進すると、その国の経済が活性化するということは、
世界中の投資家も良く知っており、これらの政策こそが、投資家が期待する成長戦略なのです。
実際、日本の成長戦略も、これら6項目の推進をすれば、経済成長が成功する確率も高まり、
世界中の投資家からも、評価されることになるのでしょう。
逆に、これらの政策と逆の政策を推進すると、経済が失速する確率が高まり、
日本売りの原因になると考えられます。
問題は、これらを推進すると、必ず出てくる抵抗勢力を抑えて、実行できるかどうかです。
日本では、過去なかなかうまくいっていませんが、日本では、やはり無理なのでしょうか?
(=日本はこのまま沈んでいくのでしょうか?)
そんなことは、いやですよね。
中には、成長戦略は民間の仕事だと、責任転嫁をする向きもいるようですが、
そうではないでしょう。
政府は、経済成長を促すのに、
政府にしかできないことを成長戦略として、推進しなければならないのです。
安倍政権のリーダーシップが問われているのだと思います。
効果の高い経済成長戦略(第三の矢)の提示とその実行に期待しております。