比較チャート 日経平均先物とS&P500先物
上記のチャートを見るとわかるように、
米国株価と日経平均株価が相関しなくなってきました。
直近、1か月ほど、日経平均は上昇トレンド、米株が下落トレンドとなっています。
主要因として、次の理由が考えられます。
① ドル円の大幅上昇
② 米国のQE3終了と利上げ開始による金融相場終焉の接近
③ 日経平均の大口投資家の買い支え (個人投資家は信用売りが優勢)
米国株は若干下落調整ぎみ
さすがの米国株式も、そろそろ史上最高値圏で、調整下落の兆候が見え始めています。
特に、今週木曜日の夜間は、アップル株の急落や、TTPが妥結されなかったことなどに反応し、
大きく下落しました。
米国では、マーケットがネガティブニュースに敏感になってきているところですので、
急落を注意しておきたいと考えています。
私の知る限り、マスコミでは、TPPと株価急落の関係は、報道されていませんでしたが、
個人的には、TPP妥結は、世界経済の成長、生産性の向上、消費者利益の拡大に、
大きな効果があるのだと考えています。
また、
ドルの上昇はやはり米国経済にとってはマイナスなのでしょう。
たとえ米国企業が海外拠点に分散していたとしても、連結決算で差損が出るためです。
日経平均は上昇トレンド継続中
一方で、日経平均は、上昇トレンド継続中です。
今週木曜日夜間で、米国株式が急落したのにもかかわらず、
翌日、日銀による買い支えオペレーションや、円安ドル高が追い風となり、上昇トレンドを継続中です。
個人投資家の信用売りは、増加しており、個人のセンチメントが売りにもかかわらず、
先物を中心に買い上がる大口の投資家がいるようです。
相場に入りては相場に従えということで、
上昇トレンドの時は、買いでついていくのが良いと思います。
また、NISA口座では、100万円の枠を使い切っていない投資家が多いようですが、
大きな下げ調整がないので、安値待ちで、なかなか買えないというのが実態だと思います。
しかし、アベノミクス相場では、去年5月や今年1月に突然急落ということが、たびび発生しております。
急落に備えて、常にストップ(逆指値)は、発注しておきたいと思います。
ところで、ドル円は、ユーロドルの下落の影響もあり、ずっと上げトレンドを継続しています。
ドル円は、放っておいても、どんどん上昇していく外貨預金のような状況ですね。
円安なのに貿易赤字
円安なのに、貿易赤字です。
これは、エネルギーを輸入にたよるようになったという点も大きいと思いますが、
日本企業が、生産拠点を海外に移転したことも、大きな原因と考えられます。
すると、円安になると、
① 日本からの輸出は増えませんが、
② 海外生産子会社の決算を日本円で連結すると、為替差益により、業績が向上します。
したがって、これらの企業の業績は上昇し、株価も上昇することになります。
日経平均は、このような海外拠点を持つ企業が多いため、
円安により、上昇する可能性が高い(相関が高い)と考えています。
しかし、もちろん、日経平均株価は、為替だけの単相関ではなく、
他の要因によって重相関しているため、他の経済ファンダメンタルズが悪い今、
円安だけで上昇しているのは???ですが。
円安によるデメリットは、
国内拠点のみの企業の業績の悪化が、国外拠点を持つ企業の業績の上昇を上回る場合に、
発生するのだと考えています。
このような状況が発生すれば、
円安 & 株安 の状況が発生するでしょう。
さらに、日本の財政が悪化し、破たんとなれば、円安 & 株安 & 債券安 のトリプル安で、
ハイパーインフレとなることも想定しておかなければなりません。
日銀は、円安進行で、これを一番心配しているのだと思います。
日銀の黒田さんが、消費税を10%上げなければ、財政破たんしないことを保証できないといって、
消費増税を強要していますが、
たとえ、消費税を10%に上げる決定をするとしても、
日銀ですら、このような事態をくい止めることができないということは、明らかでしょう。
この発言は、日銀総裁の発言としては、失言だと思っています。
黒田さんは、無理やり消費税を10%に上げるといっているのにすぎません。
財務官僚出身者で、どうしても消費税を上げようとしているのが、バレバレの発言ですね。
たとえシナリオ通りに消費税を上げるにしても、
安倍さんのように、経済状況を見て、総合的に判断すると言うのが正しいのでしょう。
いずれにしても、この議論の論点は消費増税などではなく、財政再建をどうするかなのです。
日銀だけでは、コントロールは不可能なのです。
日経VIとオプションは安定的
日経平均VIは、このような上昇トレンドを反映し、17%前後で安定して推移しています。
オプションの投資家心理も、今の日経平均の相場に、安心しているのだと思います。
上昇相場では、たとえ暴騰したとしても、ボラの上昇は限定的です。
また、プットオプションのベガロング(プット買いやプットバックスプレッド)を入れるチャンスは、
しばらくこないようですね。
調整下落が近いかもしれない、米国VIX指数のほうが、跳ね上がる可能性が高いのかもしれません。