羊の父は、幼稚園バスのドライバーをしていた事があります。
園から一旦は年齢的なことから断られたのですが、やはり求人しても応募が無かったのでしょうか。
後から、電話がかかってきて、働いてほしいという事になりました。
しかし、1年ほどして父はそこを辞めてしまいました。
その理由は、バスの周りを園児が動きまわって危険なのに誰もカバーしてくれないという事でした。
羊は、せっかく見つかった仕事なのにもったいない事するなと思ってしまっていました。
そして、そんなものかと軽く受け止めてしまってもいましたが、実際にハンドルを握ったら、そんな恐ろしい事は無かったはず、と最近思うようになりました。
羊の近隣にも幼稚園がありますが、こちらのバスは朝、慎重に出発準備をしています。
しかし、その横をマイカーで送迎の親御さんたちの車が次から次へとやってきます。
それはそれで良いのですが、お子さんを降ろして園内に預け終わると、結構なスピードで走り去ってゆきます。
歩行者が自動車を目視してから対応できる自動車の速度と言うものがあると思うのですが、我が子を預けてしまえば、そういった事はもう頭にはなく、お仕事の事なのか家事の事なのかで親御さんも急ぎたくなってしまうのでしょう。
近隣には小学生もたくさん住んでいてちょうど通学の子供たちも道路を走ったり、下ばかりを見つめて歩いていたり、自転車で送迎する親御さんが急いでいたりと、どんな危険があるかわからないのに、帰り道となると、こんな危険なゾーンを通過しているという意識は無くなってしまうようです。
そうした光景を見ると、父が言っていたバスの周りを園児が動き回って危ないという理由は、本当に切実なものだったのだなと今になって理解できるようになりました。
そうした状況に園側が理解を示すことが無いから辞めて行ってしまう。
バスのドライバーがよく変わったり、園の外の交通整理が疎かだったりする所には、隠れた危険があったり、不理解や無関心と言う危険もあるのかも知れません。