R-6 『成功できる人の営業思考』売り方マニュアル | INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』

R-6 『成功できる人の営業思考』売り方マニュアル

□ベストセラーの「熾火(おきび)」を作る

 たとえば、キャンプにおいて、バーベキューの火を熾すときに、苦労したことがないでしょうか。燃えやすい、新聞紙や枯れ枝、割りばしを入れて火をつけたとしても、それらは直ぐに燃え尽きてしまい、なかなか十分な火力を得ることができません。十分な火力を得るには、木炭にしっかり火をつけて「熾火」をつくる必要があります。

 本をベストセラーにするのも、同じ原理なのではないでしょうか。

 しっかりと売り場で「熾火」となる実売が上がっていない状態では、広告やPR戦略、Amazonキャンペーン、ブログへの掲載は、一過性の効果しか得られなくなります。逆に、本が売り場に定着して実売を確実に上げ、「熾火」となっている状態では、広告やPR戦略なども高い効果が得られます。



 今回、制作段階から『成功できる人の営業思考』にかかわらせて頂いて、また、書店の現場において拡大販売を実践する中で、僕はこの「熾火」を作ることにいたしました。



 その結果、直接販売にかかわらせて頂いた、芳林堂書店高田馬場店においては、ビジネス書ランキング6週連続1位を記録、2/24現在で218冊の実売をあげ、また、1月末より同じく直接販売にかかわらせて頂いた、芳林堂書店汐留店(45坪の小型店)でも、2/24現在で125冊の実売を上げ、ビジネス書ランキング4週連続1位を記録し、直近のデータでは2月(25日間)だけでも82冊を売り上げており、一ヶ月間での実売100冊も現実味を帯びてきました。交流があり、共同戦線を張って拡大販売をして頂いた、神奈川県のある大型店でも、実売数が200冊を超えたと言います。

 特に後発で仕掛け展開した汐留店では、高田馬場店でフィードバックが役に立ちました。高田馬場店で拡大販売を実践することによって、どのフレーズやコピー、パーツが効果的なのか、汐留店では仕掛け当初からわかっていたのです。

 それは数値にも表れています。

 高田馬場店は専門書も置く中型店です。それに比べて汐留店は45坪と小型店で、ビジネス書の売上も高田馬場店と比較にならないほどに規模が小さい。ところが、月間の販売数で、高田馬場店の月間MAXである12月の86冊を抜き去る勢いです。これは、商品が汐留店の客層に合ったというよりも、この商品の売り方が判明したことの影響の方がはるかに大きい

 それはすなわち、ベストセラーとなるための「熾火」を手に入れたということでもあります。

 では、どうやって「熾火」を作ることができたのか、次項目から具体的に見て行きましょう。



□売場進化論《拡大販売の経過報告》

売場進化論

 モーターレースの最高峰F1では、世界でもトップクラスの物理学者や航空力学の専門家などが加わって、より速く走る車を開発し、満を持して開幕戦に投入しても、実は開発はそこで終わりではありません。そこがスタートと言ってもいいかも知れません。どんな優れたコンピュータや風洞施設を使ってもラボで得られるデータは仮説でしかなく、車の正確な速さは実際にレースを走らせてみなければわかりません。レースで得られたデータを元に開発はその後も続けられて、F1マシーンはシーズンを通して進化を続け、最終的に平均で2秒ほど速くなります。

 本の売り方も、本来、これと同じです。

 本が発売して売り場に展開し、とりあえずパネルやPOPを取り付けて販売しますが、その売り方は一種の「仮説」にすぎません。ここから、本来は最も売れる売り方を模索して、売り場を進化させていかなければならないのに、ほとんどの場合、発売に商品を売り場に段階で売り場の「開発」は終わってしまって、「その本のポテンシャルを最大限に引き出す」ということを行いません。これは本当にもったいないことだと思います。売り場をヴァージョンアップさせながら、その本にとっての実売の最大値を探っていけば、多くの場合、実売数が伸びて行きます

 芳林堂書店の高田馬場店と汐留店で行ったことは、まさにそういうことです。実売数を通してお客様の反応を見ながら、売場を徐々に進化させて、その商品のポテンシャルを最大限に引き出すようにつとめました。



芳林堂書店高田馬場店(中型店):実売数218冊 発売から6週連続ビジネス書ランキング1位


 高田馬場店においては発売(11月18日)から300冊で大展開しました。これまでの傾向として仕掛け展開から3週間で週間の実売数が急激に落ちるという傾向がありましたが、本作品においては、発売から2ヶ月経過しても実売数は落ちませんでした。それは次のように売場を進化させていったからです。


・ヴァージョン⒈0:テーマ「エアーズロック」

 300冊の迫力を活かすためにあえて凝ったことをせずに、そのまま積み上げました。即、ランク入りしましたが、それ以上の実売数が欲しかったので、「補助パーツ」を投入することにしました。ちなみにパネル左に設置した封筒の中には、丸善ラゾーナ川崎店の中村さんに書いてもらった「手紙」が入っています。


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』


・ヴァージョン⒉0:テーマ「エビデンス・パーツ」

 展開により、ランキングにも入って来たので、それをエビデンス(証拠)としてパーツ化。

「発売まもなくランク入り 総合2位!!ビジネス1位!!」

 また、ブロガーさんやソーシャルメディアなどで得られるレビューから、この本を「営業の本ではなく、自己啓発の本」として読んで頂いた「男性」の方からの評価が異様に高いことに注目して次のパーツを制作。

「営業ではない、女性ではない、あなたこそが読む本」

 さらにお客様の興味を喚起させるために、いくつかのパーツを投入すると、確実に実売数が伸びるようになりました。


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』


・ヴァージョン⒊0:テーマ「3D拡材」

 お客様を飽きさせないように、次に廃材を使って「3D拡材」を制作しました。本書では、「営業思考の上昇スパイラルモデル」がキーとなっているので、これをそのまま立体化して制作。また、実売数も100冊を超えて来たので、これをエビデンスとしてパーツ化。この頃には実売は安定し、連続でランクインするようになっていました。


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』



・ヴァージョン⒋0完成型:テーマ「立体積み」 

 だいたい、通用するパーツも判明し、エビデンスも蓄積されて来たので、仕上げとして、積み方を工夫しました。お客様が中央の3D拡材の前に止まって全体を見渡してもらえるように、そこを中心として作品自体を立体的に積み上げて、お客様に訴求しました。また、資格の大原さんのHPに「就活生は絶対に読むべき本」と紹介されていたので、これをパネル化して投入しました。この段階までくると、想定以上に実売数が伸びるようになり、発売から2カ月をまたずして、高田馬場店での実売数は、200冊を超えました。

*高田馬場店での拡大販売は実質的に1月15日で終了


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』




芳林堂書店汐留店(小型店):実売数125冊 4週連続ビジネス書ランキング1位


 高田馬場店での「実験結果」のフィードバックがあったので、汐留店では仕掛け展開からすぐに実売が上がりました。45坪の小型店ですし、ビジネス書もそれほど売れている実績がなかったので、当初の目標は、「2カ月間で実売を100冊に乗せる」というものでした。ところが、実際に仕掛けてみると、いい意味での想定外が起こりました。高田馬場店で効果があったパーツをそのまま投入してみると、はじめから驚くほどの反応があったのです。

 ここでは、それほど進化させる必要はなく、次の2つのヴァージョンでこの作品における売上を最大化することができました。


・ヴァージョン⒈0

 高田馬場店の実績からのフィードバックに基づいて、はじめから以下のパーツを投入しました。

「誰かに認めてもらうためにはどうすればいいのか 答えはこの中に」

「営業ではない あなたこそが読むべき本です!」

「なぜ営業思考は人生に成功をもたらすのか?」

 これだけでも十分に実売が上がりましたが更に加速させるために、店舗の外にポスターを制作して張り出しました。


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』


・ヴァージョン⒉0

 更に実売を加速させるために、ブロガーのまなたけさんに制作してもらった本作品の「マインドマップ」をパネル化して、積み方もピラミッドをイメージした「立体積み」にしたこと、またランキング入り情報などのエビデンスパーツを投入することによって、実売の加速が決定的となりました。一日に6冊売れる日も何度かあり、一週間ではコンスタントに20冊以上の実売を残せるようになりました。想定の2倍以上の成果でした。

 2/24現在で、4週連続ビジネス書1位を記録。しかも、実売数において2位に⒊2倍、3位に⒋8倍という圧倒的な差をつけての記録でした。


INCORPORATE REPORT SEASON4 『CODE MAKER』


連続実売記録

 ランキング実績、実売数など、実績を上げて来た『成功できる人の営業思考』ですが、それ以外にも隠れた記録があります。それは、私が仕掛け展開した店舗(高田馬場店と汐留店)で、仕掛けした期間、「一日たりとも売れなかった日がなかった」ということです。すなわち、2/24日現在、97営業日連続で実売を記録していることになります。

 今回、改めてわかったことですが、この「売れない日を作らない」ということが、拡大販売して「熾火」を作る上で重要なファクターになってくるのだと思います。



□効果があった販売方法のまとめ《フィードバック》

〔普遍化パーツ〕

この本は営業のスキルではなく、主に「本質的・普遍的」なことについて、書かれています。そのことを訴求した以下のパーツが特に効果がありました。


・「営業ではないあなたこそが読むべき本」

・「誰かに認めてもらうためにはどうすればいいのか 答えはこの中に」

・「なぜ営業思考は人生に成功をもたらすのか?」


〔エビデンスパーツ〕

エビデンス(証拠)は、お客様の購入に際する「行動摩擦」を軽減する効果があります。以下のパーツが特に効果がありました。


・「ランキング入り情報」*他店の情報も含む

・「単店実売100冊突破」

・「売れ行き好調につき大量入荷」


〔3D(立体化)による訴求〕

拡材や積み方を立体化することによって、お客様の注意を引きやすくなることになります。特に以下の方法が効果がありました。


・営業思考の上昇スパイラルモデル3D拡材

・各種(特にピラミッド方式)立体積み





□今後の拡販展開の可能性

拡販店舗拡大のキーになるのは「再現性」

 今回の実験のような広い展開場所やワゴンを用意できれば理想的であり、汐留店での展開をそのまま取り入れれば、かなりの実売数を上げることができるでしょう。そのような場所を確保することができれば、そのまま取り入れれば、実売の加速はほとんど間違いないと思われます。

 たとえば、それがたとえ20店舗だったとしても、一ヶ月間で500冊から1000冊の実売数は現実的な数として見えてくると思います。

 ただし、新刊ではない本作品が広い展開場所を確保することは難しいでしょうし、また、積み方なども、もしかして、簡単には再現できないかもしれません。

 それでも、上に上げた〔普遍化パーツ〕をPOPやパネルとして作り直すことさえできれば、発売当初よりはるかに大きな実売数が期待できます。汐留店での実売を、全国のどこの書店においても、ある程度「再現」できると想定します。


「熾火」をどう活かすのか?

 ここに、結果としての各種のデータがあり、また売り方の方法があります。これは実際にマーケットに投入しての実数としてのデータであり、その中で「応変(ブラッシュアップ)」を繰り返しながら、到達した売り方です。すなわち、すでにベストセラーの「熾火」があるということです。

 この「熾火」を活かして実際にベストセラーとするか、またはせっかくの「熾火」を無視して、冷ましてしまうかは、版元様の判断によるところと思います。

 現在、この業界では夥しい数の新刊が市場に投入されて、多くは育てられることもなく、すぐに返品されて裁断されます。返品率は実に40%を超えると言われ、逆に重版率は30%を切ったと言われています。

 その作品のポテンシャルを最大限に引き出す。

 この方法は、版元様の売上が向上するばかりではなく、書店の売上の向上、および書店のポテンシャルを引き出し、返品率を下げる上でも、業界全体に良い影響を及ぼすものと、私は信じております。

 どうぞ、この微かながらも尊い「熾火」を大切にしていただけるように、お願い申し上げます。


□全国の書店員の皆様へ

 現場からベストセラーを出したいと、多くの皆様にご協力頂きましたが、発売した段階では最もよい売り方を掴んでおりませんでした。

 ここで、改めてお願い申し上げます。


 もう一度、この作品を仕掛け展開していただけませんでしょうか。


 以上のような売り方を踏まえて展開すれば、確実に実売数が上がっていくものと思います。

 どうぞ、ご協力よろしくお願いします。


□出版社様・作者の皆様へ

 もうすでにご案内している方もいますが、3/16日にフリーエージェントとなった後に、僕は、この作品『成功できる人の営業思考』で行った、「ベストセラーの『熾火』をつくる」という販売戦略を、本格的にサービスとして展開致します。

 書店での「実売」を重視した、新しいベストセラーへのアプローチ方法です。

 このサービスが広がることによって、業界全体に、ほんの少しでも良い影響が与えられればと思っております。


 サービスの詳細につきましては、本ブログで公開します。また、お問い合せ頂ければ、資料をお渡し致しますのでお気軽にお問い合せくださいませ。

 どうぞ、よろしくお願いします。


 また、長文に最後までお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。