2009/05/07
暗い木目調の壁
隅には身の丈ほどの観葉植物が置いてある
ワインレッドのイスに使い古された感の出ている丸いテーブル、少し足がガタツく。
テーブルを三つ挟み、女性が独りで俯きがちに座っている。テーブルの上には真っ白のマグカップが一つと同色の陶器の灰皿、少し潰れたソフトパックのラッキーストライクとピンク色の百円ライターが置いてある。
栗色の髪の毛を後ろで束ね、垂らしている前髪の隙間から白い肌が見える。
鋭く尖ったアゴから続く細くて長いクビ、手の甲には骨と血管が浮かび、痩せすぎている印象をもつ。
しかし、彼女は綺麗だ。
人間味を一切排除したような綺麗さ。
黒いタートルネックにピッチリしたジーンズを履いている。足元に目をやると、真っ白な素足が覗いている。
マネキンのように整った形の足。
周りにはスニーカーもサンダルもパンプスも見あたらない。
僕は視線をあげる。彼女は一ミリの変化もなく同じ姿勢のまま俯きがちに座っている。
僕は視線を外せないままに彼女を眺める。
彼女の顔から何かが落ちる。
泣いている。
俯きがちに座り、両手を膝に揃えておいた彼女は音もなく涙を流している。
店内に流れるグラント・グリーンのギターが同じフレーズを繰り返す。
まるで一枚の写真のように、彼女は静止したままひたすらに涙を流し続ける。
僕は読みかけのハードカバーを手に取り静かに席を立つ。
小気味の良い音が鳴る。こつりこつり。
ありがとうございました。
ごちそうさまでした。
堤内さんと、いつもと変わらない挨拶をすると僕は扉を引いた。
古典的なドアベルの音が鳴る。
ちりんちりん。
表に出ると、薄暗い街を生温い雨が濡らしていた。
隅には身の丈ほどの観葉植物が置いてある
ワインレッドのイスに使い古された感の出ている丸いテーブル、少し足がガタツく。
テーブルを三つ挟み、女性が独りで俯きがちに座っている。テーブルの上には真っ白のマグカップが一つと同色の陶器の灰皿、少し潰れたソフトパックのラッキーストライクとピンク色の百円ライターが置いてある。
栗色の髪の毛を後ろで束ね、垂らしている前髪の隙間から白い肌が見える。
鋭く尖ったアゴから続く細くて長いクビ、手の甲には骨と血管が浮かび、痩せすぎている印象をもつ。
しかし、彼女は綺麗だ。
人間味を一切排除したような綺麗さ。
黒いタートルネックにピッチリしたジーンズを履いている。足元に目をやると、真っ白な素足が覗いている。
マネキンのように整った形の足。
周りにはスニーカーもサンダルもパンプスも見あたらない。
僕は視線をあげる。彼女は一ミリの変化もなく同じ姿勢のまま俯きがちに座っている。
僕は視線を外せないままに彼女を眺める。
彼女の顔から何かが落ちる。
泣いている。
俯きがちに座り、両手を膝に揃えておいた彼女は音もなく涙を流している。
店内に流れるグラント・グリーンのギターが同じフレーズを繰り返す。
まるで一枚の写真のように、彼女は静止したままひたすらに涙を流し続ける。
僕は読みかけのハードカバーを手に取り静かに席を立つ。
小気味の良い音が鳴る。こつりこつり。
ありがとうございました。
ごちそうさまでした。
堤内さんと、いつもと変わらない挨拶をすると僕は扉を引いた。
古典的なドアベルの音が鳴る。
ちりんちりん。
表に出ると、薄暗い街を生温い雨が濡らしていた。
