樹脂製のウクレレが欲しいなとか思っていた。
樹脂製の最大の利点は環境に影響されない事。
湿度がどれだけ高くても、潮風に当たっても、なんなら海に漬けても大丈夫。
(注:ペグなどはさびる恐れがあるので洗浄が必要になるが)
昔から樹脂(主にプラスチック)のウクレレは存在したが、おもちゃ扱いなものが多かったのも事実だが、近年は楽器として使えるクオリティのものもある。
Outdoor UKULELE
ってのが定番だと思っていたし、買うならこれかなと思っていたのだが、Amazonで見たウクレレがセールになっていて衝動買いしてしまった。
今回買ったのがこれ。
NOVA U (ENYA MUSIC)
レビューで高評価だったし、安くなってたし、自分の需要に合う製品だったのでポチッた訳だが、どこかで聞いたような名前が少々胡散臭さを感じる中国のメーカー製。
(結構な種類のウクレレを販売しているようだし、高級機も存在するようだ)
あまり期待はしていなかったが実際に手にしてみて、良い意味で裏切られた。
まずは簡単に製品の概要を説明しておこう。
23インチスケールのコンサートサイズ。ボディ・ネックともにポリカーボネート(カーボンファイバー30%混とある)製。私は白を購入したが、塗装はしっかりとされておりプラスチック感や極度の安物感はない。白を選んだのは自分で落書きするのに良さそうだと思ったからである。
弦はフロロカーボン弦が張られているらしい。2対2のギアペグが付いている。
本体のほかにセミハードケース、カポタスト、ストラップ、変え弦がセットになっている。
これで\9000-はお買い得感満載だ(私はセールで\6750-で購入)
さて。手にしてみて。
ウクレレとしては薄いボディであり、バランスも良く抱えやすい。
ストラップピンが標準装備となっているが、ウクレレでよく使うサウンドホールにひっかけるタイプのストラップは使用できないからと思われる。
一般的なコンサートよりもスケールが少し長く、テナーよりは小さい感じで、フレットの広さは少し広め。ネックは13フレット付近でジョイントされる形になっているが、カッタウェイが深く滑らかに切られているのでハイフレットの演奏性も悪くない。
量は標準的だと思われる。ボディ側面に小さなサウンドホールがあり、演奏者自身が音を取りやすい作りになっている。
音質は独特だ。
非常に澄んだ音で、金属質とまでは行かないが木製のウクレレとは明らかに違う音がする。
ギター弾き的に言うと、シングルの球のアンプのクリーンと、JCのクリーンの音の違い…そんな感じだろうか。
一般的なウクレレに比べてサスティーンも長い。全般的に良く鳴る印象だ。
個人的にこういう音は好きなのだが、一方でウクレレとはまた違う楽器な雰囲気もある気がした。
少し弾いてみて、気になった点がいくつか。
個人的に残念だったのが、ハンマリングやプリングで音が出しにくい事。
フレットが金属の方が音が出しやすいと思える。
指板もフレットもネックと一体成型(ナットも)なことが最大の要因だと思う。
フレットが樹脂製故に、チョーキングビブラートもかけにくい(ウクレレでは普通は使わないけど)
もう一点、弦の高さ、正確にはボディと弦が近い事。
弦高は十分確保されているし、手首をスナップさせるようなストロークは全く問題ない。
また、ずっと親指でメロディラインを引き続けるような場合も、問題ない。
が、ストロークとメロディ引きとが交互に出てくるような楽曲ではフィンガーボードの厚みがないために、右手のポジションが窮屈に感じることがある。
この辺は慣れなのかもしれないが、私的には今一つに感じてしまう。
よくできた、コストパフォーマンスに優れる楽器だとは思うが、ウクレレを初めて手にする人にはあまりお勧めしたくない。
2本目以降で、特に屋外とか夏の砂浜で弾きたいとかいう向きには非常におすすめである。
高度な工業製品だと思うので、品質にばらつきが少ない(だろう)という点もこの楽器の利点だと思う。
蛇足ではあるが、付属のセミハードケースも結構いい感じで、この価格帯にありがちなペラペラのビニール袋とは比較することが出来ないレベルだ。
そういう部分も含めると、コストパフォーマンスは本当に良いと思う。
難しい事はあまり考えずに手にしても良いと思う一本だ。