カイロプラクティックの慢性腰痛に対する治療
日本腰痛学会誌に掲載された腰痛に対するカイロプラクティック治療の研究を二つご紹介します。今から20年程前に、整形外科関連の学会誌に掲載されたカイロプラクティック治療の有効性について記述された論文です。当時は整形外科学会からカイロプラクティック治療の有効性について疑問視する声も多く上がり、整形外科関連の学会誌に掲載されるのはカイロプラクティック治療の危険性を強調するものが多く、カイロプラクティック治療の有効性について掲載されるのは珍しいことでした。こうした掲載に至る経緯としては、バイアスなく公平な視点でカイロプラクティックの有効性と安全性について調査されていた、ある整形外科学会の重鎮の先生の協力が当時あったようです。カイロプラクティックの慢性腰痛に対する治療竹谷内 宏明,竹谷内 克彰,カイロプラクティックの慢性腰痛に対する治療,日本腰痛学会雑誌,2006,12 巻,1 号,p. 107-114,公開日 2007/08/31,Online ISSN 1882-1863,Print ISSN 1345-9074,https://doi.org/10.3753/yotsu.12.107,https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/12/1/12_1_107/_article/-char/jahttps://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/12/1/12_1_107/_pdf/-char/ja性腰痛に対するカイロプラクティック治療の有効性について、アウトカム指標を用いて調査しました。2005年度に竹谷内クリニック(東京カイロプラクティックセンター)を受診した患者のうち、一定の条件を満たした慢性腰痛患者の50例 (男性13例, 女性37例, 平均年齢48.6歳) を対象として、初診時治療前と最終経過観察時において、腰痛の程度をVAS値、腰痛関連機能障害をRoland-Morris Disability Questionnaire (RDQ) で評価しました。さらに腰痛関連機能障害の重症度も評価しました。結果、腰痛VASとRDQスコアは治療前に比べて優位な改善を示し、腰痛関連機能障害の重症度も改善傾向が認められました。本研究により、カイロプラクティック治療が慢性腰痛に有効である可能性を示唆していますが、今後は、より質の高い臨床研究を行いカイロプラクティックの慢性腰痛に対する有効性を明らかにする必要があります。急性腰痛に対するカイロプラクティック的手法竹谷内 宏明,急性腰痛に対するカイロプラクティック的手法,日本腰痛学会雑誌,2005,11 巻,1 号,p. 64-68,公開日 2007/12/14,Online ISSN 1882-1863,Print ISSN 1345-9074,https://doi.org/10.3753/yotsu.11.64,https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/11/1/11_1_64/_article/-char/jahttps://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/11/1/11_1_64/_pdf/-char/ja平成14年1月~12月までの間に竹谷内クリニック(東京カイロプラクティックセンター)を訪れ、①腰痛の発症から来院まで1週間以内、②下肢の無症状の条件を満たした急性腰痛の50例の患者が何回の施術で症状が解消したかを調査しました。50例のうち男女ともに25名ずつで患者の平均年齢は男性48.8±11.8歳、女性46.6±12.9歳、全体の平均年齢は 47.7±14.6歳。治癒の判定は、患者の自覚症状の解消と腰部傍脊柱筋の緊張改善 が一致した際に判断し、50例のうち1回で治癒した3例を除いてすべての患者に治癒(治療終了)宣言を行い、最低回数は1回、最多は7回で平均3.8±1.3回でした。RMIT日本校付属新橋外来センターの調査では、初診時VASが5(平均7.21± 1.65)以上で同条件を満たした35 例(男性19例,平均年齢,45.7±9.6歳,女性 16例,平均年齢,38.9±14.0歳,全体の平均 年齢は42.6±12.1歳)の急性腰痛の症状改善 までの平均治療回数は5.1±4.1回でした。