サウジアラビアのレストランに「シングルセクション」(男性グループ用スペース)・「ファミリーセクション」(女性同伴用スペース)があり、それが徐々になくなっていることは先のブログに書いた。
カーテンで仕切られていない新しいカフェで「あぁ!ここがサウジなんて信じられない」と寛いでいて、ふと気が付いた・・・・・店内に・・・・・
!音楽が流れている!!!
▼新しいオシャレなカフェ群
日本では当たり前のようにいろんなお店で耳にする「音楽」。
コンビニで最新の音楽を聴いていつの間にか口ずさんだり、カフェのBGMが心地よくてコーヒーを一層美味しく感じたり。
そんな出先で聞く「音楽」が、私が入国したころのサウジにはなかったのだ。
サウジは数年来、イスラム教の教義解釈が厳格だった。
経典であるコーラン(クルアーン)に「音楽」に関する言及があるわけではないが、「飲酒」同様「音楽」をはじめとするエンターテインメント「娯楽」全般が、人々を惑わし神への信仰を妨げるものと解釈されてきた。
テレビやインターネットで個人的に嗜むことはあっても、人前で音楽を奏でたり聴いたりすることは「悪徳」とされた。
けれど2018年、サウジアラビアで約35年ぶりに映画館が再開された。
「娯楽」が解禁されたのだ。
そして街には「音楽」を流すカフェが出現した。
「サウジは本当に変わっているんだ!」と実感した瞬間だった。
私の暮していた東部地区には国営石油企業アラムコがあり、その出資で2017年、映画館や図書館、コンサートホール、カフェなどを備えた立派な文化センターも建設された。
アブドゥルアズィーズ王世界文化センター、通称イスラIthra(アラビア語で「豊かにするもの」の意)だ。
▼奇抜な外観のイスラはノルウェーの建築事務所スノヘッタによるデザイン
▼贅沢な吹き抜けのあるイスラ内部
そこにウィーン・フィルが来るというので出かけてみた。
日本ではきっとお高いコンサートチケットS席が、3000円!!ほどで購入できた。
どうやらお金持ちのアラムコがしっかり負担しているということだった。
ウィーン・フィルの演奏を目の当たりにして、さらに、聴衆であるサウジ人たちがスタンディングオベーションして「ブラボー」と声を上げる姿に胸が熱くなった。
サウジの人々が音楽を享受し、この地で外国の文化が紹介される!!
イスラの名よろしく心が豊かな気持ちでいっぱいになる。
サウジの変革を肌で感じ、聴衆の拍手喝采がまるでその変革のうねりのように、私の耳にいつまでもいつまでも鳴り響いた。
(その後、韓国のBTSがリヤドでコンサートを開くまでに至ったことは、先のブログに書いた通りだ。)