初の完全女装をした若いころ、エリザベスは下着は買取で、初心者向けに下着セットというものを売っていました。
初めてエリザベスに行った時もそれを購入したのですが、帰りがけ困ったことになりました。
当時は実家に住んでいたので、それを持ち帰るわけにはいかないのです。
どうしようとさんざん考えたあげく、捨てるしかないだろうという結論になりました。
そして、実家から少し離れた駅のごみ箱にそっと捨てました。
下着とつけまつげと、そして初の完全女装のポラロイド写真を。
大変残念でしたが、どうしようもありませんでした。
その後も何度もエリザベスには行きました。
しかし、購入したセーラー服は何とか隠し場所を確保したものの、下着と写真は見つかってはいけないという気持ちでした。
制服だって同じことなのですけど、何故か当時はそういう気持ちだったのです。
そういうわけで、エリザベスに行くたび、下着セットを購入し、帰りの駅で写真とともに捨てていました。
何とももったいない話ですが、実家住まいの者としてはそうやって気持ちに整理をつけていました。
そして、結婚してからの話です。
結婚する際、大事にしていた制服をすべて処分しましたが、数年経ってどうしても制服が欲しくなりました。
衝動的に1着買ってしまい、着る場所がないのでラブホに持ち込んで着てみました。
久しぶりの制服にとても感動したのを覚えています。
しかし、それも持ち帰る場所がありません。
でも、数万円出して買った制服一式です。
何とかしたい気持ちもありましたが、持っていて再び制服にはまってしまうことを恐れる気持ちもありました。
結局、結論の出ないまま、駅のコインロッカーに預けましたが、帰りがけ、制服と再び決別するために、ロッカーの鍵を駅のゴミ箱に捨ててしまいました。
けれども、いったん元に戻ってしまうと、制服と決別できるはずがありません。
しばらくして、再び制服熱が上がり、今度は事前にサロンのロッカーを借りました。
それからは買った物を捨てるということはなくなったのです。
そこに至るまで、駅で別れてしまった、数多くの大切な分身たち。
仕方なかったとはいえ、何とも申し訳ない気持ちでいっぱいです。