私には地方に勤務していた時代がありました。
東京を離れ、1人暮らしです。
東京にはお盆と正月だけ、実家に帰ってきます。
地方でも仕事が忙しかったので、そんなものでした。
年2回しか帰って来れない東京での時間は貴重です。
行きたかった場所に行ったり、女装サロンに行ってみたり・・・・。
帰るたびに東京の景色は変わっていました。
そして地方に戻るときに寄る場所がありました。
中古制服店(ブルセラショップ)です。
当時はインターネットなどない時代。
制服を買おうとすると、店に行かなければならなかったんです。
地方に戻る日、午後開店するころにその店に寄ります。
店には所狭しと制服が吊るされています。
じっくりと吟味して、その中で気に入ったものを買い求めます。
当時から決して安価ではありませんでしたが、独身ゆえ自由になる資金がまだありました。
厳重に包装してもらい、紙袋に入れて持ち帰ります。
制服も生地がいいので、1着フルセットだとずっしり重いんですね。
そうして、東京の女子校の制服たちは私と旅に出ました。
制服たちも本当は東京にとどまりたかったのだと思います。
それなのに、遠く離れた見知らぬ土地へ、私に連れられて行きました。
地方にある私にアパートに着くと、まずシャワーを浴びて、それから試着。
制服は東京では有名校でも、地方では無名です。
でも、私にとっては、故郷を思い出す貴重なアイテムでした。
サイズの入らない制服はなかったですね。
店で売られる制服にはスカートのサイズが書いてあるので、それを目安に購入していました。
しばし、そんな時間を過ごした後、制服を畳んで押し入れにしまいます。
私と同様に故郷を離れることになった制服に詫びながら・・・・。
↓思えば遠くへきたもんだ