あれは去年の春のことでした。
平日に1日休めた日があって、横浜のアルテミスに行ったんですね。
そして、そのあと、夜に新宿のアールズも予約していたんです。
1日に2軒掛け持ちでした。
なかなか機会がないから、思う存分楽しむつもりでした。
家族には仕事に行くといって、家を出ました。
だから服装はスーツです。
昼にアルテミスで外出を楽しみました。
アルテミスからみなとみらいの方へ歩いて往復したんです。
ずいぶん歩いて足が痛くなったけど、天気もいいし楽しかったですね。
アルテミスでの変身が終わって、近くの公園で缶コーヒーを飲んでいました。
妻は私が女装趣味だと感づいています。
私も自分の趣味を自分のパートナーに言えないもどかしさがありました。
女装については時々、好きなのかどうか聞かれていました。
そのたびに否定していましたが、そろそろ自分の中で限界が来ていました。
公園で佇みながら、妻に女装サロンに行くことを認めてもらったら楽になるのではないかと思ったんです。
でも、電話でどう話せばいいか・・・・。
1時間くらい逡巡していたでしょうか。
電話をかけてみました。
「・・・・あの、新宿にある変身のお店に行ってみてもいいかな?」
「別にいいけど・・・・」
「よかったら夜、新宿に来ない?」
「新宿?・・・・・行ってもいいけど」
「じゃあ、伊勢丹の前に8時ごろにいて」
「わかった」
妻は、突然の話に驚いたようですが、認めたのか認めていないのか定かではありません。
でも、新宿まで来てくれるということは、全く否定的でもないのでしょう。
いろいろ考えているうち予約の時間が迫ってきました。
急いで東横線で移動です。
新宿のアールズでひとしきり楽しみました。
魔法の時間はあっという間です。
時間はちょうど8時を過ぎたくらいでした。
伊勢丹へ急ぐと、シャッターの下りかけた入口で妻は待っていました。
どこかで一服したかったので、近くのコーヒーショップへ入りました。
なんとも言い難い雰囲気が流れます。
「やっぱり、そういうのが好きだったのね」
「うん・・まあ・・・」
「私を何で新宿に呼んだの?1人でそっと楽しむものじゃないの?」
「・・・・・・・・・・」
あとは何を話したのか、はっきり覚えていません。
話すことがなくて、世間話をしたような気がします。
認めてもらうというのはそもそも虫の良い話で、妻の複雑な気持ちをさらに複雑にしてしまったようなところがありました。
やはり黙って1人で楽しんでいればよかったのかどうか。
だからといって妻の疑問を曖昧にしているのも限界。
前にも後にも進めない、そんな長い1日でした。
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