昨日のつづきです。


5階へと続く階段を上りました。

緊張が高まってきます。


5階は確か「女装のひろば」という名称だったと思います。

5階につくと、先に来ている女装子さんから「ドリンクは何がいい?」と聞かれます。

当時は、ワンドリンクがサービスだったんですね。

とりあえずコーラを頼み、空いた席に座って、ビンにさしたストローでコーラを飲みます。

ストローにべったりとついた口紅がなまめかしかったですね。


この日は確か日曜日だったので、すでに女装子さんが結構集っています。

あちこちで女装子さんどうしの会話に花が咲いています。

5階担当の係の女性もいて、女装子さんと大笑いしながら話しています。

そんな中、大いに緊張しながらも、まわりの様子を観察していました。


しばらくすると、係の女性から、「写真1枚サービスなので撮りましょう」と誘われます。

スタジオのようなところで、セーラー服姿で立ってみます。

「カバン持ってみたら」と言われて、革カバンも持ってみました。

今、女子高生はこんな手提げの革カバンはもっていないですね。

そういえば、写真もポラロイドでした。


だんだん退屈になったので、サロンの中を歩いてみます。

長い髪が顔にまとわりついたりしますが、それも新鮮な感覚。

今はないような長い制服のスカートも、今まで経験のない肌触りです。


サロンには、女装子さんたちの写真があちこちに貼ってあったり、イベントのお知らせのポップが掲示してあったりします。

これは、自分には遠い世界だなあ、と思いながら眺めていました。


周りのベテラン女装子さんたちは服装もさまざまです。

制服系の方もいて、なんかその女装姿に本物の女子高生以上に興奮してしまったのを覚えています。


周りを観察しながらも、一人ぽつんとしていることに居づらさも感じ始めました。

帰るときはどうすればいいんだろう・・・・・。

よくわからないので、どう動いていいかわからない自分がいました。


たぶん結構長い時間いたのだと思います。

外に出た時は暗くなっていました。


でも、帰りの記憶がなぜかないんですね。

どうやって、5階を後にして、メイクを落として、着替えたのか。

たぶんメイクさんに教えてもらったとは思うのですが、そこの記憶がないんです。


帰りの地下鉄の中で、セーラー服の女子高生を見かけました。

自分も今まで女子高生だったのだと思うと、嬉しいような恥ずかしいような不思議な感覚でしたね。





↓秋止符


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